■動画解説版
こんにちは燦です。
さあ今回は、いよいよ事例Ⅳの要「NPV」ですね。
⑭って…。いつまでやるんじゃ…。
二次試験攻略編は今回が最終回!(たぶん)
ほんまかいな。ていうかワシのサムネイル率低すぎるじゃろ。
NPVを簡単に解く3ステップ
NPVってなんじゃっけ?
NPVはただの「正味現在価値」ですが、いわゆる投資の意思決定全般の問題を一般名称的にNPVって呼んでるだけですね。
事例ⅣでNPVの問題は確かに殆ど毎回出てるな。
そりゃあ企業経営に置いて投資判断ってめちゃくちゃ重要ですからね。
財務会計の試験問題によく出題されるのも当然です。
なんか難しい問題が多いって聞いたぞ?
確かに計算等がややこしい問題が多いですよね。
まぁ、儲かりそうなら投資するってだけの話なんですけどね。
良い解き方があるの?
はい。この3ステップを抑えとけば大体いけますよ!
年次毎に入ってきたお金(上)と出ていったお金(下)の図じゃね。よくみるやつ。
もうね、とにかくこれを書いて下さい。
これを書かないから解けないんですよ!
これ書いた方がいいの?
試験だと計算式の経過とかも書くんじゃろ?
私はこの図をそのまま解答用紙に書いてます。最低限必要な式もちょろっと書きますけどね。
この図を載せたからって別に減点とかはされてないんじゃないかな?
設備投資額とか儲かる利益とかを計算するんじゃね。
そうです。ここが面倒ですけど1個1個確実に入れていきましょう。
コストで割り引くやつね。これが最後なのね。
はい、複利か年金で割り引いて現在価値に変換した上で、CIFとCOFのトータルの差をみれば、ザ・エンドです。簡単ですね。
NPVがプラスだから当然「投資するべき」という意思決定になるわけじゃね。
(格好つけてザ・エンドは最高にダサい…)
ステップ2.の数字の算出【5項目】
だがしかし、ステップ2.の算出が難しいわけで…。
検討項目は大体決まっていまして、こんなもんです。
② 減価償却
③ 処分価額
④ 税効果
⑤ 運転資本増減
中身を簡単に説明していきます。
いわずもがな、投資することによって見込まれる利益。CIFの主軸。
通常、問題文で「100万円の利益増が見込まれる」等の数字が与えられる。
100万円利益増加するという表現だけではなく、100万円コストダウンできるというパターンもある。CIFが増えるという意味では同じ話。
売上UPの場合は、掛かった経費を引いて営業利益から算出することが必要。
あくまでFCFであることに注意。
例
毎期200万円のキャッシュ増を見込んでいる
CIF 200 200 200 200 200
設備などの投資が絡む場合、絶対に必要な要素。
CIFに計上される。(実質払わずに手元に残るお金なので)
耐用年数、償却方法、残存価額を確認の上、各期の金額を算出する。
例1
1000万円投資
20年定額法
残存価額10%
→ 毎年45万円
CIF 45 45 45 45 45....
例2
1000万円投資
5年40%定率法(4年目5年目均等割)
残存価額0
→ 1年目400万円 2年目240万円 3年目144万円 4年目108万円 5年目108万円
CIF 400 240 144 108 108
設備の処分費用を加味する。
現行機械を売却すれば、その売却金額がCIFとなる。
投資した機械を耐用年数後に売却する場合も同様。
また廃棄した場合は、0円で売却するという意味と同じ。
ただし逆に廃棄費用がかかることもある。
その場合もマイナス○○円で売却したと考えてもよい。
例1
1000万円を10年定額法で償却
残存価額10%
この設備を入れて5年が経過した
新しい設備を導入予定
現有設備は売却を行う
帳簿価格と同じ金額で売却できる
→ 450万償却済み 現在帳簿価額550万円 CIF 550万円
例2
1億円の機械を5年定額法で償却
残存価額15%
耐用年数終了後に0円で処分予定
→ 最終帳簿価額1500万円 0円処分なのでCIF 0円
重要。営業利益が与えられた場合は税(t)を引く必要がある。
減価償却費は税の対象外。
税引後利益+減価償却費=CIF
(営業利益)(1-t)+減価償却費=CIF
※営業利益=粗利-減価償却費等
例1
営業利益80 税率30% 減価償却費50
→ 80×0.7+50=106(CIF)
例2
粗利80 税率30% 減価償却費50
→ (80-50)×0.7+50=71(CIF)
税金が効果を発するのは「損をした時」である。
帳簿価額が100万円なのに40万円でしか売却出来なかった時など。
その場合、60万円損しているので60万円×税率分は税金を払わなくて良い。
つまり税率30%とすると18万円がCIFとなる。
(40万円の売却金額も忘れずにCIFへ)
CIF 18+40
逆に帳簿価額が100万円なのに150万円で売れた時は、50万円得しているので50万円×税率分30%の15万円を余分に払うことになる為、15万円をCOFへ。
(150万円の売却金額は忘れずにCIFへ)
CIF 150
COF 15
赤字の場合は税金がゼロになるので注意。
ただし赤字はその事業だけの話なのか全社の話なのか、どちらなのか抑えておく。
その事業だけが赤字であるならばマイナスであっても気にせず税率計算を行う。
必ず会社全体では黒字であるなどの注釈があるはず。
※全社でも赤字
例1
事業利益△30 減価償却費50 税率30%
△30+50=20(CIF)
※全社では黒字
例2
事業利益△30 減価償却費50 税率30%
△30×0.7+50=29(CIF)
FCFなので、資金繰りの増減も加味する必要がある。
売掛金だから資産が増えた~とか、未払金は負債だから~とか、ややこしく考えず、短絡的思考で目の前の金が減ったか増えたかだけで一喜一憂するとわかりやすい。
在庫が増えた → お金減った(>_<) → COFに計上。
ただし計算をややこしくするだけなので運転資本の増減は考えなくていいと指示される場合が多い。
よくよく注意するのは、減価償却費と税効果くらいか。
そうですね。またプロジェクト終了後の保有設備をどうするのかは指示に従ってください。
もし指示がない場合、私は残存帳簿価額でCIFに入れるようにしています。
比較の投資判断
投資の判断ということもあって、やるかやらないかだけではなく、A投資かB投資かあるいは何もしないかを選択するといった場合もあります。
その場合は、全てのパターンでステップ1~3をやって比較すればいいのかい?
もちろんそれでもいいのですが、たぶん時間が足りなくなると思います。
それに全ての数字を素直に渡してくれるとも限りません。
なので差計算が望ましいです。
情報が少なく、不明の変数を売上=X、変動費=Y、固定費=Fなどとして計算するととても大変になります。
なので差計算でやります。どれくらいお得になったかの差異だけを見ていきます。
そうすれば、「何もしない」と比べるときは0と比べれば良いことになります。
【A投資とB投資の差異について】
今回はA投資とB投資の差異についてみていきます。
ステップ1.図を書く
期首の投資額COFの差は1000です。
A投資目線で図を作成すると…。
ステップ2.数値を算出
今回運転資本増減無しなので、5項目の内①~④をチェックします。
AとBの設備は、変動費の削減率に差があります。
直感的にAの方が10%ほどお得感がありそうです。
一応、売上X-変動費Y-固定費F=利益の式でAとBの差を見ると
X-Y(0.8)-F - (X-Y(0.9)-F) = 0.1Y となります。
A投資利益 B投資利益実際に適当に数字を入れてみても確かめられます。
A投資:売100-変60(0.8)-固30 =22
B投資:売100-変60(0.9)-固30 =16
何もしない:売100-変60-固30 =10
A投資の方がB投資より6だけ利益が大きい。
やっぱり変動費額(仮に60)の10%だけお得だなと確かめられます。
問題文を見て一瞬で利益差異は0.1Yと判断出来ればそれで構いません。
(1-税率)を掛けて0.07Yが税引後の増分CIFとなります。
A投資:
設備2000-残存10%=1800
10年償却なので減価償却費は180/年
180に税率30%で、CIFは54お得。
B投資:
設備1000-残存10%=900
10年償却なので減価償却費は90/年
90に税率30%で、CIFは27お得。
こちらも差異で考えるとなんとなくA投資が27(54-27)分お得なんだなぁというのがわかると思います。
先ほどの税引後のCIF①と足して 0.07Y+27 が増分CIFとなります。
①増加利益と②減価償却の税金をまとめて処理する場合は、税引前利益の差額0.1Yと減価償却費の差額90で考えます。
0.7(0.1Y-90)+90=0.07Y+27
まとめて処理した方がわかりやすいかもしれませんね。
さらに別のアプローチ
A投資:
(X-0.8Y-F-180)が営業利益
税率を引いて 0.7(X-0.8Y-F-180)
これに減価償却費180を足し戻せば
0.7(X-0.8Y-F-180)+180
計算して
CIF=0.7X-0.56Y-0.7F-126+180 ・・・(a)
B投資:
(X-0.9Y-F-90)が営業利益
税率を引いて 0.7(X-0.9Y-F-90)
これに減価償却費90を足し戻せば
0.7(X-0.9Y-F-90)+90
計算して
CIF=0.7X-0.63Y-0.7F-63+90 ・・・(b)
(a)-(b)=0.07Y+27
税金分を切り分けるかどうか、どのタイミングで差計算をするか、求め方はどんな算出方法でもいいです。
ただ自分がいつもやっている算出方法以外の方式(穴埋め等)を求められることもあるので、一応様々なアプローチを知っておいた方が得策です。
差異のCIF部分が0.07Y+27とわかりました。
③④ 処分価額と税効果
A投資:
最終帳簿価額200 売却見込額50
→ 売却損150 つまり税金30%の45がお得
→ CIF 50+45
B投資:
最終帳簿価額100 売却見込額150
→ 売却益50 つまり税金30%の15が損
→ CIF 150 COF 15
(CIF 135と考えてもOK)
そして差異CFを出さなければいけません。
差の絶対値は|A - B|= 40とすぐわかりますが、これをCIFかCOFかで間違えるとNGです。
B投資機械の方が、税金面で損しているとはいえ高く売れるので、B投資の方が感覚的にお得度が高いことがわかります。
なので今回はA投資目線(A-B)で考えているので、A側からすると△40のCIF。
つまり40はCOF側となります。
最終年度に処分差異を加えます。
ステップ3.割引
あとは割引くだけです。今回は、資本コスト5%となっています。
自分でWACCを計算しなければいけないこともありますよ!
同じCIF金額が続く場合は年金現価係数を使えるので楽チンですね。
5% 10年 年金現価係数:7.722
(0.07Y+27)×7.722=0.541Y+208.494
10年後のCOFは、単発なので複利原価係数で
5% 10年 複利原価係数:0.614
40×0.614=24.56
最終ジャッジ
CIF - COF = 0.541Y+208.494 -(1000+24.56)
CIF - COF = 0.541Y-816.066
さて、A投資とB投資の差異は、A投資が0.54Y-816くらい儲かるとわかりました。
今回の情報だけでは、0.54Y-816がプラスがどうかわからないので判断不可能です。
問題文がややこしくなるので書きませんでしたが、きっと本来の問題だと「変動費がいくら以上の時にA投資を選択すればよいか?」等の質問がくるでしょう。
それだと0.54Y-816>0の時なので、
Y >1511.11..
変動費が1512万円以上だった場合、A投資を選択するといった解答になります。
逆に変動費が1511万円以下だった場合、B投資を選択する。
とも言えます。
さらにB投資と「何もしない」の差異を計算することで、変動費が800万円未満の時は「何もしない」を選択する(現状維持) と言えるかもしれません。
※今回計算していないので800万円かどうかはわかりませんが。
基礎さえ抑えておけば、X,Y,Fの一つくらい不明変数が来ても問題なさそうですね!
ふーむ。とはいっても慣れるまでは難しそうだぞ。
オリジナル図でもいいので自分なりの3ステップで、たくさん数をこなして慣れていきましょう!
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