こんにちは燦です。
経済学の統計問題の予想をします!
厳選13問って多くない?本当に厳選なの?前もやってたよね?
そうそう。これ↑は一昨年のやつ。去年はTwitterでやりました。
今年もやるのか?
もちろん!割と時事ネタが出やすい傾向はありますので今回は時流にのってバシっと当てたいですね。
当たるわけなくない?
そのものズバリでなくても近しい問題が出れば正答率は上がると思っています!
経済グラフを読む基礎力を付けたい方は前回の記事をご参照ください。
■この記事はこんな人にオススメ
★経済学のマクロ統計問題で極力8点を取りたい方
★試験本番の予行演習を行っておきたい方
★直近の経済情勢を把握しておきたい方
1.過去問の分析
前回記事の過去問16年分の出題履歴から問題のジャンル別に分けてみました。
GDPとかの経済動向問題系がやっぱり多いね。
貿易系は意外と少ないんだね。というわけでこの割合に準じて問題予想を立ててみました。
2.経済動向の問題
第1問 人口増加率の推移
答え ア
aが日本であることはすぐにわかると思います。10年以上前から0を切っている人口減少国です。
あとは韓国とアメリカを当てればいいですが、現在の日本よりもはるかに少子化となり困っている国があります。それが韓国です。
韓国の出生率は0.78(2022年)。日本は1.26でそれでもOECD諸国平均1.58と比べ悪いですが、韓国はそれどころじゃありません。人口の維持には2.07必要と言われています。
少子化の原因は、色々あるみたいです。
・基本的に婚姻しないと子供を産まない儒教国
・婚姻率が下がってきている(結婚できない男性)
・女性進出がまだまだ少ない(男尊女卑文化)
・1人っ子政策後に生まれた人たちが現在親世代になっている
・都市部の居住料や教育費用が異様に高い
・若者失業率が多い
・大企業や公務員にならないと収入が安定しない
ということで下落幅が大きいbが韓国です。将来的に少子高齢化が危ぶまれます。
残るcがアメリカです。
ちなみにインドの人口増加率は1.2~1.7%upくらいなのでグラフの国々より増加率が高いです。2023年についに人口世界一位(14億3000万人くらい)になりました。
第2問 世界経済の成長
答え ウ
世界全体のGDPの内、日米中がどれくらい占めているかの問題です。
まず1番多いaが、日米中以外の国々の合計です。
それでも日米中3か国で半分近くを占拠しているのはすごいです。
あとはGDP順位によります。1位のアメリカがd、2位の中国がb、ずっと横ばいであまり変わり映えしない(世界に占める割合は減少していっている)cが日本です。急増していることからもbが中国であることはわかります。
2023年 世界のGDPランキングは以下です。
1位 アメリカ(約3000兆円)
2位 中国(約2500兆円)
3位 日本(約550兆円)
4位 ドイツ(約530兆円)
5位 インド(約440兆円)
世界全体では1京2000兆円くらいです。問題の引用グラフの縦軸単位は100万$ではなく10億$の間違いでしょうね。
第3問 名実GDPはどっち
答え ウ
毎度取り上げる好きな問題です。一つだけ挙動のおかしいcの線がGDPデフレーターです(右軸)
デフレーターは2015年を基準(100)としたグラフですので物価のプラスやマイナスはわかりません。単に上がっているか減っているかの推移を視覚的に捉えるためのものです。
問題は名目GDPと実質GDPの見分け方です。
100のところに点線を引いてみると
そこだけ2本のGDP推移が逆転していることがわかります。
下の式に当てはめてみるとこんな感じです▼
デフレーターが100%より少ないということは名目GDPより実質GDPの方が多い場合です。ですので赤い線bが実質GDPです。
ちなみに普通の経済成長では名目GDPが2%とか増えていき物価も1%くらい上がってはいきますが、それでも実質GDPは1%(名目2%-実質1%=物価1%)成長しているので実感としても豊かになっていくという感じです。
ところが名目GDPが増えていないにも関わらず(0%)、物価が-1%に下落した場合も、実質GDPは1%(名目0%-実質1%=物価-1%)成長することになります。え?じゃあいいじゃん?と思うかもしれませんが、【名目GDP=価格×数量】と考えると景気が良く数量が伸びていて物価が下がるようなイノベーション型であればまだいいのですが、数量が伸びずに価格を引き下げてまで売ろうとする不況環境では名目GDPも落ちます。また企業の収益が低くなるので必ず賃金も下落していきます(GDPは所得の合計でもあります)。つまりイノベーションを伴わずに物価が下落して経済成長していくようなパターンはあり得ません。
第4問 各国CPI(消費者物価指数)
答え オ
日本以外の国は、コロナ後、政府の経済対策が効いたり、輸入モノ不足により物価が高騰していきました。万年物価が低迷している日本は物価の上がり方が鈍かったです。cが日本です。
そこにロシア-ウクライナ戦争の影響で世界中のエネルギーコストがどんどん上がっていきました。最もロシアガスの影響を受けているのは欧州です。
アメリカは、利上げ対応やコロナ後の物資供給(工業部材など)の調達が落ち着いてきたので少し物価が落ち着いてきました。bがアメリカです。
残るaがイギリスになります。イギリスのすぐ近くのグレーの線は欧州全体平均です。アメリカ近くの赤い線はカナダです。地政学的に近隣の国は似たような動きをしていますね。
勉強会で出題したとき、かなりイギリスとアメリカを逆に答えている方が多かったです。アメリカの方がインフレのイメージが高いのだと思います。FRBが政策金利を利上げして国債金利も上がりましたが、金利の利上げは何の為に行うのかというと投資を抑えて物価のインフレを抑える為です。アメリカが早めに利上げを行った=物価が早めに落ち着いてきたと考えるのが正解でした。難しいところです。
第5問 日本のコアコアCPIと項目別物価
答え ア
グラフの字が読みにくいですね。すみません。
このグラフは1年毎に推移線が繰り返していて、年次の変化(長期)と月ベースでの比較がわかりやすくなっています。
まずaとbを判別するにあたってはコアとコアコアの内容を知っておく必要があります。
・CPI 消費者物価指数(総合)
・コアCPI 生鮮食品を除く総合指数
・コアコアCPI 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数
価格が変化しやすい野菜やガソリンなどの価格を統計から抜くことで、本当の物価変化具合を確認することができます。その為コアコアCPIを見た方が実態の物価を捉えています。
なのでコアコアCPIは値動きがCPIよりも動きがマイルドになり、価格転嫁のタイムラグにより遅れて上がってきます。bがコアコアCPIです。
cとdの判断ですが、食品よりも電気代の方が輸入コストが直接効いてくるので価格変化が激しいです。2023年に電気代が急落したのは政府の介入(補助)によるものです。
スーパーの卵価格とかが徐々に上がっていますが、政府が卵に補助金を出す!とかは聞いたことないと思うので身近な生活環境からなんとなくわかるかもしれません。
3.財政問題
第1問 政策金利(短期金利)
答え ア
とりあえず万年低金利国が日本なので日銀がcです。
元々利上げをしてきたけどコロナで一気に下げて、最近またインフレ対策として金利を急上昇させたのがアメリカです。アメリカの中央銀行であるFRBがaです。
ずっと日本と同じく低金利でやってきたけども、直近になってさすがい利上げを始めたのがユーロを管轄する中央銀行です。bがECB。
過去問ではこのような政策金利の問題がありましたが(cがFRB)
それの続きの世界の話ですね。
第2問 10年国債(長期金利)
答え オ
日本は長期でも低金利です。10年国債でも金利が1%もありません。aが日本。
最近になりようやく上がってきたのがドイツ(ユーロ勢)でb。
大きく上がっているのがアメリカのcです。
基本的には短期金利と同じような動きをします。
アメリカの国債金利は最近4~5%ありますので、株の期待収益率とあまり変わらなくなってきましたね。資産運用のポートフォリオを見直してもいいかもしれません。
本来は株の期待収益率も上がってくるはずですが…。ただし為替リスクにはご注意を。
第3問 イールドカーブ
答え イ
出たら嫌な問題です。なんとなく聞いたことはあるけどよくわかっていないやつがイールドカーブです。そういうところを突いてくるのが試験です。
中身は割と単純で、横軸が国債の償還期間、縦軸が金利です。国債の償還期間という表現が分かりにくければ、定期預金の期間と置き換えてもいいです。
国債にしても定期預金にしても長期である方が利息がいいのが普通です。それだけ長いこと資金が拘束される対価として、あるいは長期間になればなるほど予測不可能なリスクが高まるので、利息が高くないとやってられません。住宅ローンを組む時も長期固定金利にした方が金利が高くなりますよね。短期の金利と長期の金利を繋いで線にしたのがイールドカーブです。基本的に右肩上がりの線になります。
ところで世界的に金利が上がってきています。日本でもさすがに最近は国債金利が上がってきました。(政策金利は上がっていませんが、国債金利は我々市場の国債売買価格によっても変動します)
なので昔と比べて最近のイールドカーブの長期金利はググっと上がってきています。角度が急になることをスティープ化(×スティーブ化🙏)といいます。
aの線が2023年のイールドカーブですが、10年国債のところだけいびつに形がいがんでいます。このイールドカーブは近年は日銀がコントロールしています。綺麗なカーブになる様にこの曲線をコントロールすることをYCC(イールドカーブコントロール)といいます。
10年国債を買い支えすぎると瞬間的にこのようにいびつな形になってしまいました。このように短期国債よりも長期国債金利の方が下がってしまうことを逆イールドといいます。本来の逆イールドは景気後退のサインともいわれ、長期的な金利低下(デフレ)を示唆しますが、この10年国債金利の凹みはYCCによりその後修正され、現在(2023年7月26日)は滑らかなカーブに戻っています。
以下蛇足
日銀の金利政策とこのイールドカーブを巡ってよくファンドが金儲けの為に色々と攻撃してくることがあります(YCCアタックという)、基本的に無限に貨幣を創造できる日銀が負けることはありません。『日銀だけには手を出すな』が巨額が動く金融界隈の教えですが、日銀の恐ろしさを知らない勢いのある若手のファンドマネージャーが日銀に勝負を挑み、返り討ちに合うのは金融業界の風物詩です。日銀は通称『ウィドウメーカー(未亡人製造機)』と呼ばれています。
第4問 開くワニの口
答え ウ
財務省が大好きなグラフです。aが100兆円の国家予算ともいわれる政府支出のことです(一般会計歳出額)。コロナで経済対策をしたので補正予算も含めて令和2年はグンと増えています。
それに対して税収bはそこまで増えていないので、支出に対して税収が足りませんよー!ということをいいたいわけです。aとbの線の差が広がっていくことをワニの口に例えているわけです。
税収で不足する分を国債(公債)で賄っています。
ある程度一定額で推移しているのが建設公債(建設国債)cです。
額が大きい方が特例公債(赤字国債)dです。
2022年の一般会計はこんな感じです↓
税収の不足分を国債で補っている感じです。
以下蛇足
財務省が予算に対して税収が少ない。だから増税が必要だ!!と言いたいロジックはわかりますが、かなり恣意的なグラフです。
①歳出に対しては歳入で比較するべき(なぜ税収?)
②歳出側には国債費(利払い、償還費)が入っている(せめて抜くべき)
③一般会計歳入の国債は特別会計も全て含めた国債費である(多く見せたい)
④歳出に国債償還費を入れている国は基本的にない(返済する意味がない)
⑤歳出の国債利払い費はほとんどが日銀向け(あとで政府に返ってくる)
色々見せ方に問題がありますが、本質的な話はそこではなく、国の財政を国債(国庫債券)や政府短期証券で賄うのはオペレーション上、当たり前の話です。実は、税金は財源ではなく別の役割の為に徴収しています。(誰も教えてくれないので知らなくて当然です)。また日本が財政破綻しないことはこの財務省が明言しています。
4.労働問題
第1問 名目賃金と実質賃金
答え ウ
グイーンと上がっているaが物価です。あとは名目と実質の関係がわかれば解けます。
名目/実質=物価 あるいは 名目率-実質率=物価 でしたよね。
物価がマイナスのゾーン(左側)は
名目2%-実質3%=物価▲1%
みたいな感じで実質が上になります。
物価がプラスのゾーン(右側)は
名目2%-実質▲2%=物価4%
みたいな感じで名目が上になります。
※実際は名目と物価の関係から最後に実質が定まります。
日本の実質賃金はよくいわれているようにオワコンです。
平均賃金と勘違いしている人も多いので注意です。
名目賃金は増えていますが、それ以上に強制的物価が上がっているからです(消費増税や輸入価格増)
第2問 労働人口
答え ア
生産年齢人口が減っているという話は聞いたことがあると思います。生産年齢人口がaです。(生産年齢人口:15歳~64歳の人口)
労働者の定義によって多少統計もバラつくのですがbが労働人口にあたります。実は昔よりちょっと増えていたりします(この20年で非正規社員が+1000万人くらい増えた)。労働人口に増えたのは、主に女性、高齢者、外国人です。
『人手不足』というのは厳密には『若い正社員』のことなんですね。
労働人口の内、働いている人が就業者cです。労働人口の内、働いていない人が失業者です。ニートや定年退職で引退した人はそもそも労働人口には入っていません。
生産年齢人口の方が労働人口より多いのは、高校生や大学生ですね。
でもその割合が減ってきているのがわかります。
今後ますます若手の人手不足になるでしょう。人手不足を仕事のやり方やテクノロジーで乗り越えると生産性向上に繋がるチャンスでもあります。安易に安い労働力に頼るといつまで経っても賃金が上がることはないでしょう。
第3問 開廃業率
答え イ
労働問題ではないと思いますが、最近よく言われるので取り上げました。日本経済がいまいちなのは企業の新陳代謝が少ないからだ!なんて言われています。
なので開業率、廃業率ともに低いaが日本です。
アメリカとイギリスの違いは難しいですね。一応日本が識別できれば正解できるようになっています。
開廃業率が高い国(イギリス)が特に経済成長しているかと言われればそうでもなさそうです。ちなみに中国を表すとこんな感じです。
経済成長している国は、単にビジネスチャンスが多いので開業率が上がるわけです。ゾンビ企業を淘汰!とかいって廃業する企業を増やしたところでビジネスチャンスがなければ開業率は増えません。新陳代謝が増えて経済が活性化するのではなく経済が活性化すると開業率が増えるという因果関係かと思われます。
また日本の経済絶頂期の開廃業率はこんな感じです。
その時でもせいぜい6%くらいなんですね。日本はそもそも開廃業率が低い国柄なのでしょう。その代わりとして長寿企業が多いわけです。
5.貿易問題
第1問 経常収支の黒字国と赤字国
答え ウ
まずdがアメリカです。万年、超貿易赤字国です。
経済大国だと自国の消費が大きくなる(輸入が増える)ことに加え、基軸通貨でドルが強くなります。ドルを安全資産としてみんなが買い集めます。となると基本的にドル高傾向となり、輸出には不利になります。また先進国であるがゆえに自国での賃金が高く、賃金の安い国に競争で勝てないということもあります。大赤字は構造的な問題の様です。
といっても基軸通貨の発行権があり、国内経済も順調なので別に困ることはありません。万が一通貨安になっても今度は輸出が有利になるので問題ないというわけです。
日本とドイツが経常収支の黒字大国です。日本は貿易立国ではありませんが、海外工場などからの配当収益が巨額で経常利益は常にプラスです。ドイツはまさに貿易立国です。昔から工業を得意としてユーロ圏では貿易無双しています。
aがドイツ、bが日本となります。
イギリスが世界ワースト2位の貿易赤字国cです。これを知っていれば解ける問題でした。イギリスはEU全般に対して特にドイツやオランダに対してかなり貿易赤字額が大きいです。産業大国であったのも今は昔、モノづくりで負けているというイメージです。その変わり金融サービスは頑張っていてそれは黒字です。(全体では大赤字)
イギリスのEU脱退を受けて、EU側は貿易規制をするぞ!と脅していましたが、イギリスからするとそもそもEUに対して赤字なので、貿易規制が入って困るのはイギリス相手に儲けていたEU側の方です。なんの脅しにもなってませんでした(笑)
何問正解できたかな!?
6割くらい…
勉強会でも2択にまでは絞れてる方が多かった印象です。最後はケインズ神からの天啓を仰ぎましょう。
同じ問題でろでろ!
なお答えはグラフの軸や時期が変わるだけでも変化します。答え自体を暗記するのではなく、知識と考え方を参考にしていただければと思います。
状況が変われば僕は意見を変える。君はどうだ?(by ケインズ)
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