さて、前回の続きになります。
①最も適切なものはどれか と 最も不適切なものはどれか のパターンがある
②不適切な文章はどこが間違っているのかを指摘する
③紐づけ・虫食い問題の罠
選択肢の攻略のヒント←今回
①問題難易度別への取り組み←ココ
②作問者の立場に立つ
うん。注意点をおさらいすると
①不適切な~の場合はマークする
②間違いにツッコミを入れる
③小細工には要注意
じゃったかな。
はいそんな感じです。では攻略のヒントコーナーにいってみましょうか。
待ってました!
TACなんかの過去問集等の解答を見ると、それぞれ問題の難易度がランク付けされています。
あ~正答率Aとか正答率Bとかいうやつね。
A:正答率80%以上
B:正答率60~80%未満
C:正答率40~60%未満
D:正答率20~40%未満
E:正答率20%未満
企業経営理論において過去5年間の集計をしたところ以下のような割合になりました。
A:□□ (15%)
B:□□□□ (32%)
C:□□□ (26%)
D:□□ (19%)
E:□ (8%)
ふむふむ。BとCの問題が多いね。
そうですね。ちなみに企業経営理論の平均点はおおよそ56点くらいです。正答率の分布ともほぼ一致します。
ただしデータの調査対象が、全受験生ではなく予備校等が集計したものなので、もしかするとやや意識高めの人達が分母となっており、全体としてはもう少し下方されるのかもしれません。
にしても、正答率や平均点は思ったほど高くないの。ちょっと安心したかも。
そうですね。きちんと勉強さえすれば一次試験はほぼ獲れると前に言ったのはこういう事情からです。つまりなんだかんだみんな忙しくて勉強時間が確保できていないということだと思います。
勉強時間の確保と効率的な勉強法がとにかく重要ということじゃな。で、A~E問題に対してどのように接すればいいんじゃ?
まず、A問題とB問題は絶対に落とせないですね。基礎的で簡単な問題が多いです。もし間違えたらなぜ間違えたのかしっかり学習して二度と間違えないようにしましょう。
A問題とB問題は、問題集をしっかりやっていれば出来そうじゃな。C問題は?
C問題は、おおよそ半分の人が間違えています。これを獲れるかどうかが合格のキーになりますね。
最後の2択が1つに絞れないパターンで間違えてるのかな?
その場合に加え、他にもこんなパターンがあります。
①最後の2択が絞れない
②ふるい落としの罠
③一見難しくて諦める
④別称詐欺
まずは①最後の2択で迷うパターンですね。
どうしたらいいんじゃ?
前にも言ったように、時間を無駄に出来ないのでどちらかに適当にマークしてさっさと次の問題にいきます。(自信がない解答ということをどこかにマークしておきましょう)
前提として全部解き終えた後にまたこの問題に戻ってきた時の話になります。
さて、適切なものを選ぶにしても、不適切なものを選ぶにしても最終的には仲間外れを1つ選ぶわけですよね?
そうともいえるね。
ということは、最後に残った2つの選択肢の内のどちらかは、既に除いた選択肢群の仲間だということです。他の選択肢がなんか違うってことはわかっていると思いますので、それをヒントにしましょう。
Aかbかで迷っているとして、残りの選択肢がc,d,eという内容だとしたら、bは『小文字』というくくりではずれグループの仲間であり、Aが正解というわけじゃな。
そうそう。言い回しや文脈など好きなグループに仲間分けしてみて判別してください。
もちろん最初は全知識を投入して問題にあたります。どうしてもわからない選択肢の正答率を1%でも上げる為の小技という位置づけで考えてくださいね。
まぁ藁にもすがるって感じじゃね。
用語説明問題の場合だと用語と説明を入れ替えているような問題があり、それもヒントになります。
ア 鵺は尻尾が長い
イ 獏は夢を食べる
ウ 豹は木を上る
エ 亀は甲羅がある
オ 鯨は海を泳ぐ
用語入れ替え問題
ア 鵺は尻尾が長い
イ 獏は海を泳ぐ
ウ 豹は甲羅がある
エ 亀は木を登る
オ 鯨は夢を食べる
このように用語と説明の正誤判定をする場合です。聞きなれない動物はおいといて、まずウ、エ、オが間違いがであることはわかりますよね?
うむ。豹に甲羅があったら見てみたいわい。
アとイで迷った場合、どうしましょうか?
ワシは、鯨は海で泳ぐことは間違いなく知っている。ということは獏が海で泳ぐが正解だというのは少し違和感があるな。同じ意味で違う用語が出題されるとは思えんし。
と考えると、アが正解だと導けますね?
いや待ってくれ。アが正解だとするなら、豹だって尻尾は長いから違和感はあるぞ。
その場合、豹に他の説明で一致するものはありませんか?
豹には木を登るというのも当てはまるな。2つ説明があることになる。
逆に鯨には、海で泳ぐということ以外に一致しそうなものは?
それはなさそうじゃ。ということはやっぱり正解はアとなってしまうのか。
とまぁこんな深堀りが可能といえば可能です。
最後の悪あがきとして、覚えておくよ…。
次に②ふるい落としの罠です。
ふるい落としの罠とは?
知っている人には楽勝だけど、知らない人はまんまと引っ掛かって間違えてしまう問題というものがあります。
例えばどんな?
ウ メンバーが自身と同じような資質や個性を備えたリーダーに同一化する同一視力(referent pawer)が生まれる。
一見、特におかしくなさそうな文章ですよね。
ふむ。
だけど、同一視力とは『その人(リーダー)のようになりたい!』という欲求から生じる力のことです。設問にあるような、『似た者同士が魅かれあう』みたいな意味はありません。
なるほど、まさに知ってれば楽勝。知らなければ引っ掛かりそうな問題じゃな。
リーダーパワーの源泉には他に6つの力がありますが、その辺りちゃんと勉強している人が報われる問題ですね。ですので対策は『きちんと覚えておく』ということになります。
きちんと勉強していない人はふるい落とすという試験なのだとしたら、対策はまぁそうなるわな…。当たり前すぎてどうなんだ?
生半可な知識は逆効果になることがあるので要注意という風に捉えてくださいね。
続いて③一見難しい問題です。
長文だったり、漢字や横文字が多かったり、知らない単語や見たことない図が出てくると『オワタ』と思うな。
一見難しそうな問題は、敵もそれをわかって出してます。だからその分、論点は易しくて意外に簡単な場合があります。
諦めずに取り組むと、実はそんなに難しくなかったという経験はあるな。
だから一見して捨てるのはもったいないです。時間がかかりそうならとりあえず飛ばして、後で落ち着いてじっくりやればGoodです。知らない単語がでても漢字の意味や横文字の和訳なんかがヒントを与えてくれます。
うん。知らなさそうな問題が出ても精一杯考えてみるわい。
そして④別称詐欺です。これは意外と軽視されがちですが本当に注意してください。
なんじゃ別称詐欺とは?
例えばチャネル戦略において、開放的チャネル、選択的チャネル、専属的チャネル、それぞれについて完璧に理解していたといます。
うむワシも完璧じゃ。それらの伝統的チャネルに対して最近はVMSが注目されておるんじゃ。
ところがこんな問題が出ます。
ア 伝統的チャネルにおける開放的な~
イ 排他的な戦略は~
ウ 限定的に促すことで~
エ 垂直的な~
オ 企業型と契約型のVMSには~
もうパニックじゃな。排他的とか限定的とか垂直的とか他のチャネル戦略の話が出てきてるぞ。
実は簡単な話です、
選択的→限定的
専属的→専門的、排他的
VMS→垂直的(マーケティングシステム)
という別称で言及されていただけです。
そうとわかれば簡単じゃが、それを知らないとせっかく学習した内容が活かせなくてくやしいのう。
こんな感じで敵は別の言い回しをガンガン使ってきますので、別称がある言葉なら出来るだけ目を通しておいてください。
また良く知ってる論点の中で、知らない単語が出てきたとしても別称を疑ってください。良く知ってる論点なのに急に全く新しい理論や言葉が出てくることは普通無いはずです。(あるなら学習しているはず)
個人的にうわ~と思ったのはこの問題です。
イ 自動二輪車の形状が不正競争防止法第2条第1項第1号の商品等表示混同惹起行為として保護されるには、それが当該メーカーの商品等表示として需要者の間に広く認識されている必要がある。
どこかおかしいのかね?
経営法務の中でも不正競争防止法の『周知表示混同惹起行為』の論点は頻出中の頻出問題で絶対に落とせません。だから上の問題は、まさに周知表示混同惹起行為の話なので×と判断したわけです。(商品等表示混同惹起行為ってなんやねんと)
はは~、実は『周知表示混同惹起行為』=『商品等表示混同惹起行為』だったというオチか。
そうなんです。完全に学習したからこそ、別称の恐ろしさを思い知らされました。
色々わかったよ。まとめるとこうじゃな。
①最後の2択が絞れない
→ 他の選択肢から得られるヒントで正解を導き出せ
②ふるい落としの罠
→ 丁寧に記憶せよ。生半可な知識は逆効果
③一見難しい問題
→ 一旦飛ばして後で冷静に取り組め
④別称詐欺
→ 一単語だけで覚えておくのは危険
正答率Cの選択肢問題は是非獲れるようになってくださいね! 長くなったので、また次回★
鵺(ぬえ)