
こんにちは燦です。
2次試験まであとわずか。今回は事例Ⅲの論点の総点検です。
事例Ⅲもやるのかの?
はい。「1次試験のピックアップ論点」やっていきましょう。
R6年度の1次試験の運営管理(生産管理)から、事例Ⅲで使えそうな論点を5つ取り上げます。
R3~5年度の分は以前にまとめていたよな。
以前のリンクも貼っておきます。あわせて、令和7年度の本試験では何が問われたのかもさらっと確認していきましょう。
■この記事はこんな人にオススメ
★事例Ⅲの予想論点を直前にざっと確認したい方
★1次試験の運営管理(生産管理)の知識を思い出したい方
★令和7年度の事例Ⅲで何が問われたか知りたい方
■動画解説版
1. この記事の位置づけ(1次試験の知識の復習)
▶ ピックアップ論点は「必ず使う」ものではありません
2次試験は設問数が少なく、問われ方も毎年変わります。論点をピンポイントで狙うのは、やはり簡単ではありません。直前に覚えた知識は使いたくなるので、聞かれていないことを書いてしまう、ということもあります。
そこで今回も、一昨年(R6)の1次試験で出た知識を2次試験の答案に使える形でおさらいする位置づけにしています。出たらラッキー、思いつかないときの考える切り口になればOK、くらいの気持ちで読んでください。
▶ R3〜5年度の論点は前回の記事で
R3〜5年度の1次試験から拾った論点(QC7つ道具と新QC7つ道具、設備総合効率、経済的発注量)は、前回の記事でまとめています。今回はそこにR6年度の1次試験を追加する形です。
前回の記事:事例Ⅲの論点と解答例のまとめ(R3〜5年度の1次試験から)
2. 令和7年度の事例Ⅲはこうでした(ネタばれ注意)
▶ 出題の概要
令和7年度は、紙パイプを製造するC社が舞台でした。製紙用・産業用・建築用の紙パイプを受注生産しており、製品在庫は持ちません。人件費やエネルギー費の高騰を背景に、高付加価値化とコストダウンによる収益性強化が課題という事例です。
| 設問 | 配点 | 問われた内容 |
|---|---|---|
| 第1問 | 20点 | C社の強みと弱み(各60字) |
| 第2問 | 30点 | 製造のコストダウンの課題2つと、各課題の改善策(各60字) |
| 第3問 | 20点 | 製品在庫をもたず納期に対応できる工程管理の対応策(100字) |
| 第4問 | 30点 | 食品用・医療用の製品への参入に必要な社内の取り組み(120字) |
▶ 与件に並んでいた問題点
事例Ⅲは与件に書かれた問題点を拾って、対になる改善策を当てるのが中心です。令和7年度は、こうした記述が並んでいました。
- 週次の製造計画をホワイトボードに記載して指示。仕様変更や特急受注が全受注の1割あり、紙のメモで指示されて工程が混乱
- 作業方法はベテラン作業者の経験と勘。高齢化と定年退職が進み、技術やスキルの承継ができていない。原料紙のセットで立ち上がりロス
- 接着剤の塗布方法や巻き取り方法の相違で品質にバラツキ。顧客からのクレームが増加
- クレームや不適合品の記録、原因追及、再発防止まで手が回っていない
- 原料紙は作業者が不足を確認した際に発注。原料紙待ちの作業停滞が発生
▶ 事例Ⅲは毎年だいたい同じところが問われます
上の問題点を見てのとおりです。作業が標準化されていない、計画や指示が行き渡っていない、不具合の記録が残っていない、材料が止まる。事例Ⅲは変わった論点が出てくる試験ではありません。
だからこそ、基礎的な論点を押さえているかで差がつきます。このあと挙げる5つも、目新しさではなく定番かどうかで選びました。
毎年同じところが詰まっておるのか。
中小企業の工場で起きることは、だいたい決まっているということでもありますね。
なので事例Ⅲは、与件の問題点に、対になる改善策を返す作業が中心です。理論は、その改善策を思いつくための引き出しとして使うものなんですね。
3. R6年度1次試験から復習する5つの論点
R6年度の運営管理のうち、生産管理分野(問1〜問21)から、前回の記事と重ならないものを中心に5つ選びました。1次試験でどう出たかと、事例Ⅲの答案でどう使えるかをセットで見ていきます。
| 論点 | R6の出題 | 事例Ⅲでの使いどころ |
|---|---|---|
| ①ライン編成とボトルネック | 問4 | 生産性向上、工程間の能力バランス |
| ②標準時間と作業の標準化 | 問6 | 経験と勘からの脱却、技術承継 |
| ③設備レイアウト | 問11 | 運搬のムダ、工程間の停滞 |
| ④外注管理 | 問14 | 外注先の選定と管理、納期確保 |
| ⑤在庫管理 | 問15 | 材料待ちの解消、在庫の適正化 |
4. 論点① ライン編成とボトルネック工程(生産性を上げる)
▶ 1次試験ではこう出た
3工程の直列ラインで、作業時間の配分を変えるとどうなるかを問う計算問題でした。第1工程が10分、第2工程が7分、第3工程が9分、という編成です。
- サイクルタイム=最も長い工程の時間。この例では第1工程の10分。ラインの速さは一番遅い工程で決まります
- ボトルネック工程=その一番長い工程。ここを短くしない限り、全体は速くなりません
- 編成効率=総作業時間 ÷(工程数 × サイクルタイム)。この例なら26分 ÷(3工程 × 10分)で約87%
正解は「第1工程と第2工程で作業AとCが交換できれば、サイクルタイムは短縮される」でした。4分の作業Aと3分の作業Cを入れ替えると第1工程が9分になり、最も長い工程が第3工程の9分に下がる、という計算です。作業を工程間で移し替えてバラつきを均す、これがラインバランシングです。
なお、ラインバランシングは工程間の作業配分を均す話です。繁忙期と閑散期の生産量をならす平準化とは別物になります。
▶ 2次ではこう問われるかも
- C社の生産性を向上させるために、どのような改善が必要か
- 納期遅延を解消するために、製造工程をどう見直すべきか
▶ 解答の組み立て例
Q.生産性を向上させるには
まずボトルネック工程を特定し、そこに人や設備を厚く配置する、作業を前後の工程に振り分ける、段取り時間を短縮する、という順です。ボトルネック以外をいくら速くしても全体は変わらないので、どこが詰まっているのかの指摘が先に来ます。
Q.納期遅延を解消するには
ラインバランシングが軸です。工程間で作業を振り分けて、どの工程も同じくらいの時間に揃える。具体的には作業の分割・統合、作業者の配置替えで、工程ごとの作業時間のバラつきを削ります。
▶ 記述のポイント
事例Ⅲでは「残業が増えている」「出荷に間に合わない」といった記述が、たいていどこかの工程の詰まりに繋がっています。令和7年度も製造時間短縮が課題として挙がっていました。工程の一覧が与件にあるときは、どこで時間がかかっているかを探すのが先です。
5. 論点② 標準時間と作業の標準化(経験と勘からの脱却)
▶ 1次試験ではこう出た
標準時間の決め方が問われました。正解は「標準時間資料法では、作業時間と変動要因との関係を、数式、図、表などにまとめたものを用いて標準時間を設定する」でした。
あわせて余裕の分類も出ています。選択肢では入れ替えられていましたが、正しくはこうです。
- 管理余裕=作業余裕+職場余裕(材料待ち、打ち合わせ、朝礼など)
- 人的余裕=用達余裕+疲労余裕(トイレ、水分補給、休憩)
標準時間は正味時間+余裕時間。熟練者だけを観測して決めると実態から外れるので、平均的な作業者を前提に置くのが考え方の軸です。
▶ 2次ではこう問われるかも
- ベテラン作業者に依存した現状を改善するには、どのような取り組みが必要か
- 技術やスキルを承継していくために、何をすべきか
▶ 解答の組み立て例
Q.ベテラン依存を改善するには
作業方法を標準化し、マニュアル化して共有するのが軸です。ベテランの動作を観測・分析して手順と時間を文書化し、誰が担当しても同じ品質と時間で作れる状態にする、という方向です。
Q.技術やスキルを承継するには
標準化した手順書をもとにOJTと教育を行い、多能工化を進めます。ベテランが退職する前に、作業の勘所を言葉と数値に落としておく、というのが順序です。
▶ 記述のポイント
「経験と勘」「属人化」「高齢化」「技術承継」は事例Ⅲの最頻出セットです。令和7年度も「作業方法はベテラン作業者の経験と勘によるものが多く」とありました。標準化とマニュアル化、そして教育まで繋げるのが定型の返し方になります。
6. 論点③ 設備レイアウト(運搬と停滞をなくす)
▶ 1次試験ではこう出た
2つのレイアウトの比較です。正解は「製品別レイアウトでは、製品を製造する流れに沿って設備を配置し、各設備は一定期間同じ製品を加工するので、一般に自動化が容易である」でした。
| 工程別レイアウト | 製品別レイアウト | |
|---|---|---|
| 配置 | 同じ機能の設備をまとめる | 製品の流れに沿って並べる |
| 向く生産 | 多品種少量 | 少品種多量 |
| 運搬距離 | 長くなりやすい | 短い |
| 進捗管理 | 製品ごとに経路が違うので難しい | やさしい |
| 設備稼働率 | 複数製品で共用するので高い | 製品が減ると下がる |
選択肢で逆に書かれやすいのは運搬距離と進捗管理です。流れに沿って並べている製品別のほうが、運搬は短く、進捗も追いやすい。ここは押さえておきたいところです。
▶ 2次ではこう問われるかも
- 工場のレイアウトについて、どのような改善が必要か
- 工程間の停滞や運搬のムダを減らすには、どうすべきか
▶ 解答の組み立て例
Q.レイアウトをどう改善すべきか
繰り返し生産する製品があるなら、流れに沿った配置に寄せて運搬と停滞を減らす方向です。多品種少量で製品ごとに経路が違う場合は、よく通る工程同士を近づける、仮置場を減らす、という部分的な改善になります。
Q.運搬のムダを減らすには
SLP(システマティック・レイアウト・プランニング)で、工程間の物の流れと関連の強さを見て配置を決め直す、という方向です。
与件に「仮置場に部品が溜まっている」「運搬距離が長い」とあれば、そこを名指しして、よく行き来する工程同士を近づける、仮置きをなくして次工程へ直接渡す、まとめて運べる容器にする、と返す形になります。
▶ 記述のポイント
レイアウトの設問は「運搬距離が長い」「仮置場に部品が溜まっている」という与件に対応します。ただし配置変更は投資を伴うので、与件に設備投資をためらう記述があるなら、まず運用で直す案を優先するほうが現実的です。
7. 論点④ 外注管理(外に出した仕事をどう握るか)
▶ 1次試験ではこう出た
正誤の組み合わせ問題で、正しい記述は次の2つでした。
- 納期遅れ対策として自社のMESを外注先に組み込むのが望ましいが、難しい場合は納期日別に納期確認するカムアップシステムの適用が有効
- どのような長期的方針の下に外注を依頼しているかを明確にすることで積極的な連携が可能になり、外注先の品質向上やコスト低減が期待できる
誤りのほうも使えます。「外注依存度の高い企業は高い技術力を持つ企業」は逆で、自社の技術力が足りないほど外注依存度は高くなります。また自社が特殊な生産技術を持つ部品は、優位性を守るために外に出さないのが筋です。
▶ 2次ではこう問われるかも
- 外注先をどのように管理すべきか
- 生産能力が不足する中で、外注を活用すべきか
▶ 解答の組み立て例
Q.外注先をどのように管理すべきか
生産計画を共有するのが軸です。いつ何がどれだけ必要かを先に渡しておき、納期は日程ベースで確認する(カムアップシステム)。
あわせて品質基準と検査方法を明確に伝え、必要なら技術指導も行う。ここまでが外注管理の中身になります。
Q.外注を活用すべきか
強みの核になる工程は自社に残すのが前提です。特殊な技術やノウハウの部分を外に出すと優位性を失います。繁忙期の数量調整や、自社に設備がない工程を外注で埋める、という切り分けになります。
▶ 記述のポイント
令和7年度のC社は5つの製造ラインを自社で持っていて、外注は出てきませんでした。ただ外注は事例Ⅲでたびたび問われる論点です。与件に協力企業や外注先が出てきたら、納期・品質をどう握るかが論点になります。
8. 論点⑤ 在庫管理(材料待ちをなくす)
▶ 1次試験ではこう出た
正解は「作業時間の変動が大きい工程の前で生産ラインを前後に分割して、工程間在庫を置くことによって、ライン全体の稼働率を改善した」でした。在庫は減らすものと決めつけず、バラつきを吸収する緩衝材として意図して置く場面がある、ということです。
これはTOC(制約理論)のドラム・バッファー・ロープの考え方です。ボトルネックが止まると工場全体の産出量が落ちるので、その直前にだけ在庫(バッファー)を置いて、ボトルネックを遊ばせない。つまりこれはボトルネック対策の話でもあります。
誤りの選択肢から、発注方式の使い分けも確認できます。
- ABC分析でCに分類された重要度の低い部品は、手間のかからない定量発注方式(ダブルビンなど)が向く。手間のかかる定期発注方式はAに使う
- 調達リードタイムが不安定なら、発注点は大きくする。小さくすると欠品が増えます
- 設備故障による納期遅れを在庫で埋めるのは根本解決ではない。保全で対応する話
▶ 2次ではこう問われるかも
- 材料待ちによる作業停滞を解消するには、どうすべきか
- 在庫をどのように管理すべきか
▶ 解答の組み立て例
Q.材料待ちを解消するには
担当者の目視と勘で発注している状態なら、発注点と発注量をあらかじめ決めて管理する方向です。在庫数量を記録・共有し、調達リードタイムを踏まえた発注点を設定する。重要度に応じてABC分析で管理の手厚さを分ける、という組み立てになります。
Q.在庫をどう管理すべきか
完成品在庫は資金を縛るので抑える一方、ボトルネック工程の前には意図的に工程間在庫を置いてラインを止めない、という使い分けです。減らす一択ではなく、どこに何のために置くかを書き分けられると説得力が出ます。
▶ 記述のポイント
令和7年度も「原料紙は作業者が不足を確認した際に発注する」「原料紙待ちによる作業停滞」とありました。発注の仕組みがないことが原因なので、返しは「発注点管理」「在庫情報の共有」になります。第3問が「製品在庫をもたず」だったように、材料在庫と製品在庫は別の話として扱うのがポイントです。
9. 今回は取り上げなかった論点
R6年度の生産管理分野では、ほかにもこういう問題が出ていました。ただ計算問題や用語の区別が中心で、2次試験の答案に直接使える形のものは少なめです。一応こんな問題も出ていた、という程度に置いておきます。
- 生産形態(問1):マスカスタマイゼーション、ロット生産、モジュール生産、OEMの区別。C社がどういう作り方をしているかを押さえる前提知識
- 生産システムの管理方式(問10):オーダエントリー方式、製番管理、VMIなど。受注生産の管理方式を整理するのに使える
- 工程分析(問16):仮置場の部品量や工程間の停滞をどう減らすか。論点③に含めました
- マテリアルハンドリング(問17):運搬活性分析、ユニットロード。運搬改善の具体策
- 設備管理(問8):故障の定義と保全。前回の設備総合効率の論点と重なる
- 工程能力指数(問7):規格の上限・下限に対するバラツキの評価。計算問題寄り
- 環境配慮型生産(問20):ライフサイクルアセスメント。令和7年度の与件にも循環型社会やサステナビリティの記述がありました
10. まとめ
今回はR6年度の1次試験から、事例Ⅲで使える5つの論点をおさらいしました。
- ①ライン編成とボトルネック工程:全体の速さは一番遅い工程で決まる
- ②標準時間と作業の標準化:経験と勘を手順と数値に落とす
- ③設備レイアウト:運搬と停滞を削る。ただし投資の重さも見る
- ④外注管理:納期を仕組みで握る。強みの核は外に出さない
- ⑤在庫管理:減らす一択ではなく、どこに何のために置くか
とはいえ、本番で一番大事なのは理論名を書くことではなく、与件文と設問文に忠実に、C社に合わせて書くことです。事例Ⅲは特に、与件に問題点が書き出されています。今回の知識は、その問題点に対になる改善策を思いつくための引き出しとして持っておいてください。
知識に振り回されず、与件に寄り添う。わしも本番はそれだけを念じておったわい。
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