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中小企業診断士 令和7年度 2次試験 解答例(速報)

こんにちは燦です。問題UPされたので令和7年度2次試験を解いてみました。

どうだった?

今年は、全体的に与件文や設問文がシンプルでバランスのよい感じでした。

簡単だった?

問題自体は取組み易かったと思いますが、その分採点がシビアになると思います…。

それはそれで恐ろしいね…。

 

■解いた様子

 

 

■YouTubeで感想会を収録

youtu.be

 

 

私の回答はあくまで「一解答例」となります。大体30分~40分で解いています。

解説や模範解答は別途作成予定です。


<毎年ガチ解きする目的>
初見80分以内という時間制限の中で、どう考え、文章を整理して、何を諦めるかなどの2次試験現場の感覚を忘れないようにするため。自身が合格レベルの解答を時間内で自力で出せることが前提条件。(とりあえず全指導者は自身の答案を晒しましょう?)

 

◆目次◆

 

 

事例Ⅰ

問題はこちら。

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私の解答と感想はこちら。

第1問 SWOT分析
【強み】
直売による消費者接点、高品質の木工技術、地域や行政との繋がり。(30字)

【弱み】
既存事業部の組織硬直化、新規事業に投下する人材リソースの不足。(30字)

【機会】
自然素材や木育に対する関心の高まり、県内の児童施設やPRの協力。(30字)

【脅威】
既存事業の競争激化、公共案件の不安定化。トレンドの変化が速い。(30字)

【感想】
事例ⅠでSWOTって初でしたっけ?情報整理なのでやることは明確。ただ30字に集約するのが難しい。

 

第2問 販路開拓

取り組みは、①直営店とアンテナショップに加え、ECサイトの販売チャネルを追加。②SNSでの発信や子育てイベントの企画・実行。③行政との連携で保育園や幼稚園、児童クラブで実践の場を活用し玩具に触れてもらう。また、地元大学との連携で学生たちのワークショップを設け、製品開発や改良サイクルを加速させる工夫を行った。(150字)

【感想】
めっちゃ子息氏頑張ってる! チャネル戦略なので第1問、第2問まで事例Ⅱだとしても違和感がない。製品開発、PR活動、地域連携、ニーズ収集を同時にする価値共創は定番施策。

 

第3問 組織体制

組織体制は、新規事業とX事業を統合し新事業部とし、知育玩具とオーダー品の課を設け、子息を新部長におく。理由は、他事業のリソースを再配分でき、市場迅速性は維持できる為。課の責任者として次世代育成も可能。(100字)

【感想】
両利きの経営理論出たか~と思いつつ、マトリクス組織でリソース配分+情報共有という路線で書くことも少し頭によぎったけど、X事業や新規事業の整備を具体化する方向で助言することにした。次世代育成をするには、マトリクス組織ではピンと来ないし、余計に混乱しそう。シンプルに事業部制でOK。


第4問 企業理念

企業理念は、木材の物質的な生活の豊かさだけではなく、知育による心の豊かさや社会全体への長期的な発展に貢献することを再定義する。関係者には、①時代の変化に適合した新しい価値を創造すること。②これまで培った木工スキルを将来の社会発展として昇華すること。このような意義や使命を繰り返し伝え浸透させていく。(149字)

【感想】
出ましたね経営理念。あくまで再定義なので根本部分は変えちゃダメ。TOYOTAが「自動車を売る」→「移動を売る」と再定義したような、抽象化した定義に変更。自分たちがずっとやってきたスキルが将来を担う子供達の育成に役立つなら、きっと職人達もわかってくれるはず。

 

4問構成とかなりシンプルな問題でした。一応文字数は500字なのでいつもと同じ記述量ではありますが、1問少ないのは気持ち的には楽ですね。

 

事例Ⅱ

問題はこちら。

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私の解答はこちら。

第1問 顧客・競合・自社分析

顧客は、アスリートや運動部の学生、大学運動部のトレーナーもしているが、一般のお試し客のリピート率は低い点が課題。競合は、保険診療の接骨院、格安マッサージのチェーン店、独自技術の整体院と競争が激しい。自社は、Z社出身の社長の高い技術やコミュニケーション力、専門性の高いスタッフが強みで、顧客管理に課題。(150字)

 

【感想】
3C分析の基本問題。顧客、競合、自社というヒントは無くなりましたね。単語を挙げるだけでなく、「だから何なのか」まで書くとよい。

 

第2問 価格戦略

価格戦略は、9~18時はアスリート向けに長時間の高付加価値ケアプランや、割引プランを設けることで混雑時間からの誘導を狙う。18~21時は、60分コースを値上げして30分コースでの施術回転率向上と顧客流出を防ぐ。(100字)

【感想】
パッと見、事前想定通りダイナミックプライシングの問題ですが、相当悩みました。昼間を安くしたとして大学生は来るのか?(授業や部活中では?)、そもそも安さを求められていないので多少安くしても大手チェーンの方が安いので勝てない。むしろ昼間はアスリート向けに集中して高くすべきと思いました。価格戦略というよりコース時間のプラン設定の問題かと。とはいえ多くの人は、繁閑対策のダイナミックプライシングを書くだろうから、折衷案を取ることにしました。

 

第3問 顧客管理システム

顧客情報に、①取り組んでいる競技種目、②身体的な悩み、③精神的な悩みなど定性的な情報もヒアリングして登録する。競技種目に合わせたスタッフで専属化し、メンターとして個別対応で寄り添ったサポートを行う。都度、心身の改善状況のデータを更新し、顧客と進捗をシェアすることで長期的な関係を構築する。(144字)

【感想】
CRM強化によるリレーションシップマーケティング、1on1マーケティング。これでもかってくらいヒントがあったのでここはみんなバラけなさそうです。初期カウンセリングで満足度を上げるだけでなく、進捗のデータ更新によりLTVを上げるところがポイント。

 

第4問 動画コンテンツ

①有名トップアスリートがメディアで紹介していた放送。②各競技に精通したスタッフの紹介動画。③大学運動部トレーナー活動等の実績動画。④元アスリートでケガ経験がありZ社から独立したB社長のストーリー動画等。(100字)

【感想】
当初はお役立コンテンツ動画やZ世代の共感を呼ぶ動画(InstagramリールやTiktok)のイメージを持ちましたが、HPに埋め込む動画のようです。SNSで発信する動画とHPに埋め込む動画はそもそも役割が全然違いますので、そこを意識しました。(作問者がちゃんと識別して出題しているのが少し不安だったので④で一応補足)

価格戦略だけ深読みすると少し迷うところだが、設問にシンプルに答えれば大丈夫じゃ。

 

事例Ⅲ

問題はこちら。

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私の解答はこちら。

第1問 強みと弱み

(a)強み:
X社から安定的に資材調達できる関係性。抜き取りやすい型枠性能。サステナブルな社会指向に適合する再生紙を主としている点。(59字)

(b)弱み:
人材不足で納期に追われ残業が増加傾向。生産管理や発注管理が未整備で生産性が悪化。品質管理や技術承継が不十分でクレーム発生。(60字)

【感想】
抜き取りやすい型枠性能はピンポイントすぎる強み笑。文字数に余裕があったので入れました。これが飲料や食品にも使える性能だとよかったけど。弱みはちょっと書き方が難しい。これは弱みというか「現状の問題」ではなかろうか…。

 

第2問 生産改善

課題①立ち上がりロスのムダを削減。改善策は、ベテラン作業者の経験と勘を標準化とマニュアル化しOJTにより技術継承を促進する。(60字)

課題②作り直しのムダを削減。改善策は、接着剤塗布や巻き取りの作業手順を標準化し品質のバラつきを抑制し、クレームを削減する。(60字)

【感想】
R7年度の全事例で一番迷った問題。最初は、「品質バラつき是正」「クレーム削減」を課題に上げていましたが、その対処法となる「品質管理体制」は最終問題で使うので、その対処法は第2問からは排除。代わりに「残業削減(労務費のコストダウン)」をピックアップし、最後までそれを課題②にしていましたが、そうすると「立ち上げロス」「作り直しロス」の話を課題①として一つにまとめないといけない。だけど、それだと課題①の記述がかなり窮屈になる。文字数から判断するに、「立ち上げロス」「作り直しロス」を課題①と②に切り分けることを想定していると判断。残業の問題は、第3問で回収することとしました。

 

第3問 生産管理

対応策は、①月産計画と日次計画で納期の進捗管理を徹底し納期を遵守。②工程の余力管理により、変更時や突発対応に作業負荷を平準化し残業を抑制。③定期発注方式と現品管理により欠品を防止して作業停滞を無くす。(100字)

【感想】
生産管理の基本的な改善策。ここに平準化対策を記載して残業抑制に繋げる。発注遅れの話もここで回収。生産統制(進捗・余力・現品)の話がうまくまとまった。工程①~⑧自体のECRSも考えたが、現状、受注生産とはいえ半製品(仕掛)在庫はあるだろうから結局計画の改善が肝。あくまで工程「管理」の改善の話に集約しました。あと、突貫注文は既存の計画をひっくり返してまで対応しなくていいよ。残業なんかもっての他で、リードタイムを伸びても待ってもらえるような製品価値やコミュニケーションをしようぜ…。

 

第4問 組織強化

取り組みは、①品質管理部を設置し、不具合やクレーム履歴の蓄積、異常原因の追及と根本対策により再発防止、検品の強化で高品質基準に対応する。②営業部を設置し、再生紙パイプの高付加価値化に繋がる情報収集や需要喚起を図れる体制を整備する。(115字)

 

【感想】
社内体制強化なので、あまり販路開拓(外部連携)目線では書きにくい。包装資材メーカーが食品や衣料品業界に販路を持っているかどうかで戦略で全く変わってくるが、与件文からは読み取れず。品質の体制強化がメイン解答なのは間違いないが、もう一つ営業面を入れ込むと上記のような解答となりました。

 

紙パイプって一般用語?業界では「紙コア」「紙管(しかん)」って呼んでたよ。工場見学も行ったので生産工程のイメージはできます!帯を巻き上げて作るので紙コアの表層にスパイラル状のラインが入るけど、そこが滑らかで段差がなければないほど性能が高い。それを使って巻き上げる製品の品質が向上する(段差があるとその痕を拾っちゃう)

 

事例Ⅳ

問題はこちら。

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数字だけ書いていきます。

 

私の解答はこちら。

第1問 経営分析

(設問1)
①自己資本比率 82.13%
②売上高総利益率 35.85%
③有形固定資産回転率 1.85回


(設問2)
老舗の伝統的製品により安定した業績で財務安全性は高いが、自社工場による職人生産のこだわりで製造原価が高く、直営小売店の保有で資産効率性も低くなっている。(76字)

【感想】
単純に経営指標の数字比較ではなく、BSの項目や業態違いからその中身を分析する良問となっている。劣っている点の分析だけでよかったのか…問題読んでなかった。かなり反省。安全性の話を除けばもう少し経営戦略に踏み込んで書けましたね。収益性は営業利益率を選んでも間違いというほどではないかな~。

 

第2問 CVP分析
(設問1) X480基 Y720基 691,200千円
(設問2) Y947基
(設問3) X500基 Y1500基 408,750千円

 

【感想】
製品比率の問題。こちらが真のセールスミックスで、いずれ必ず出ると言っていたやつ。マスタガやイケカコをやっていてSET売りの考え方を知っていればきっと解けるはず。25%以上はXを作りたいという表現から、連立方程式の3X=Yを出せるかどうかが勝負の分かれ目ですね。



第3問 投資判定

(設問1) 4,200,000円
(設問2) 1期 10,620,000円 2期 19,620,000円 3期 19,620,000円 4期 32,820,000円
(設問3) NPV 13,868,220円 採択する

【感想】
とりあえずNPVを出せば勝手に全部解ける問題。ひねりのポイントは貸し倉庫の機会費用の扱いくらい?ただし毎年のCFを「差額で見るのかどうか」や「最初の運転資本の投資タイミング」の指示が相変わらず曖昧。期中に徐々に余裕在庫を増やしていくという想定なら期首ではなく期末に初年度の運転資本を計上する考えもまぁおかしくはない。設問3のNPVさえ合っていれば、設問2のCFは機会費用を考慮しなくても間違いではないと思います。(問題文からは厳密には判断不能)



第4問 記述問題

(設問1)
銀行融資がよい。理由は、出資金だと高コストで経営権のリスクを伴うが、負債比率や利払い費が低いので60百万円程度の借入の余裕や信用は十分あり、節税も図れる為。(77字)

(設問2)
為替リスクがある。対処は、現地販売先と円建て取引の交渉、為替予約、ユーロプットオプションを活用する。(50字)

 

【感想】
この案件の資金調達方法としては、基本融資が適当だが、最初「ものづくり補助金」についても記載していた(ものづくり補助金の海外進出要件にドンピシャすぎて、この内容なら99%採択されるだろう)。とはいえ、それを書くと融資の理由説明が少し浅くなってしまうのと、「財務状況を踏まえて」とあったので出資との違いを求めているのかと理解。補助金は削除して融資に集中。設問2は、EUは規制が厳しいので(特に化学物質は)、法的リスクや政治リスクなど色々あるが、具体的対処法も書くとなると60字では為替リスクだけでいっぱいいっぱいとなる。「財務的リスク」を素直に捉えて、一論点のみに絞った。輸出企業なのでユーロ「売り」(円への換金)の権利を取ることが重要。ユーロ「買い」(€への換金)はD社が輸入企業の場合だね。

 

試験受けられた方、お疲れ様でした。

 

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