
こんにちは燦です。
今回は事例Ⅰの出題予想論点をまとめました。
令和3年度から5年度の一次試験を分析したんじゃな。
予想論点を3つに絞ってお届けしますが、まず最初に大事な注意点があります。
確実にこれで勝つる!
その考えが一番危険なんよ…。
予想論点を勉強すれば、二次試験で有利になるんじゃないか?
正直そうでもないです。予想論点っぽい話が与件や設問に出てきたとしますよね。「で?」って話です。
まあ確かに。でもせっかく勉強したんだからそれを解答に使いたくなるぞ。
そこも落とし穴なんです!
生半可な知識をインプットすると、それが逆効果になることもあります。
どういうことじゃ?
苦労して手に入れた知識って、使いたくなってしまうんですよ。
せっかくインプットした知識を「どこかで使わなければ」と思ってしまって、与件文の状況を無視して、求められていない回答を書いてしまうリスクがあります。
なるほど…知識に振り回されるわけじゃな。
その通り!二次試験で最も重要なのは、与件文と設問文に忠実に従うことです。
じゃあ予想論点はどう使えばいいんじゃ?
以下のような位置づけで活用してください。
予想論点の正しい活用法
- ドンピシャで出ればラッキー程度の心構え
- 何も思いつかないときのフレームワーク・切り口として使う
- 基本的な理論の復習として再インプット
あくまで補助的なものとして使うんじゃな。
そうです!理論を学んでも、与件文の事例企業の状況と合わせて、適切にアウトプットできることが求められます。
理論知識の使いどころは意外と難しそうじゃな。
状況判断力と応用力が試されますよね。
直前期の知識の詰め込みはデメリットもあると…。
1次は詰め込み全然OKなんですけどね、2次は経験上リスクもあると思ってます。
今まで意図的に2次予想はしてなかったそうじゃね。今回はなぜしたのじゃ?
AIで格段に分析が早くなったのと、とはいえ、まぁみんなたぶん知りたいですよね。
■1次試験の引用範囲
・R3~R5(沖縄再試験含む)企業経営理論を分析
・R6~R7は除外(R7の2次試験には反映される可能性が低い?)
■動画解説版
事例Ⅰ 重要論点ガイド(R3-R5版)
令和5年度(R5)、令和4年度(R4)、令和3年度(R3)の一次試験「企業経営理論」の出題内容を分析し、事例Ⅰ(組織・人事・戦略)で最も頻出する重要論点を3つに厳選しました。
論点1:経営資源の分析と持続的競争優位の確立
なぜ重要か?
企業がどのような「強み」を保有し、それが市場で競争優位の源泉となるかを分析するフレームワークは、事例Ⅰの戦略パートの基礎であり、よく出題される論点です。
■ VRIOフレームワーク
- 概要:経営資源を「価値(Value)」「希少性(Rarity)」「模倣困難性(Inimitability)」「組織(Organization)」の4観点から評価
- 重要ポイント:資源が V・R・I を満たしても、それを活用できる組織体制がなければ持続的競争優位は確立できない
- 一次試験出題:R4 Q3
【2次試験での問われ方と解答例】
問われ方の例
- 「A社が保有する強みを、持続的競争優位の観点から分析せよ」
- 「A社の強みを活用し、今後どのような戦略を推進すべきか述べよ」
解答の構成例(VRIOで分析する場合)
A社の強みは、①(具体的な資源・能力)であり、これは顧客に価値をもたらし(V)、業界内で希少で(R)、長年の技術蓄積により模倣困難(I)である。今後は、この強みを最大限活用できる組織体制(O)を整え、(具体的施策)を推進すべきである。
記述のポイント
- 与件文から具体的な資源・能力を抽出
- VRIOの4要素すべてに触れる必要はない(字数次第)
- 特に「O(組織)」が整っていないケースは改善提案のチャンス
■ コア・コンピタンス
- 概要:顧客が認知する価値を高めるスキルや技術の集合体
- 特徴:個々のスキル・技術が顧客に理解されている必要はない
- 重要ポイント:コア製品のマーケットシェア拡大がコア・コンピタンス強化の機会となる
- 一次試験出題:R5 Q3、R3 Q4
【2次試験での問われ方と解答例】
問われ方の例
- 「A社のコア・コンピタンスを特定し、今後どう活用すべきか述べよ」
- 「A社の強みを他製品・他市場に応用する戦略を提案せよ」
解答の構成例
A社のコア・コンピタンスは、○○技術と△△ノウハウを組み合わせた(具体的な能力)である。今後は、この能力を活かし、(具体的な活用方法:例えば新製品開発、品質向上、短納期化など)推進すべきである。また、このコンピタンスを(他製品・他市場)に応用し、シェア拡大を図るべきである。
記述のポイント
- 単一技術ではなく「技術の組み合わせ」として表現
- 顧客視点での価値(何ができるようになるか)を明記
- 他製品・他市場への展開可能性を示す
論点2:組織構造の設計と組織変革の推進
なぜ重要か?
企業の成長や戦略の多角化(「組織は戦略に従う」)に伴い、組織構造の変更や大規模な組織変革は、事例Ⅰの中心テーマです。
■ 組織変革のプロセス(コッターの8段階モデル)
組織の課題解決策を時間軸に沿って具体的に提案する際の必須フレームワークです。
- 危機意識の向上 → 変革の必要性を全社で共有
- 変革推進チームの構築 → 影響力のあるメンバーで編成
- ビジョンと戦略の明確化 → 目指す姿を描く
- ビジョンの周知徹底 → あらゆる手段で繰り返し伝達
- 従業員の自発的行動の促進 → 障害を取り除く
- 短期的成果の実現 → 早期の成功体験で勢いをつける
- 成果の定着と変革の加速 → 一過性に終わらせない
- 新しい文化の定着 → 企業文化として根付かせる
一次試験出題:R5 Q18 / R3 Q23
【2次試験での問われ方と解答例】
問われ方の例
- 「A社の組織変革を成功させるために必要な施策を、段階的に述べよ」
- 「A社が新規事業を立ち上げる際の推進プロセスを提案せよ」
解答の構成例(時系列で段階的に記述)
変革を推進するには、まず①危機意識を全社で共有し、②変革推進チームを組成する。次に③ビジョンを明確化し全社に浸透させ、④短期的成果を実現することで従業員の納得感を醸成する。最後に⑤変革を企業文化として定着させることが重要である。
記述のポイント
- 「まず」「次に」「最後に」など時系列を明確にする
- 8段階すべてを書く必要はない(字数に応じて3〜5段階に絞る)
- 与件文の状況に合わせて具体的な施策を盛り込む
■ 両利きの経営と知識創造
両利きの経営
- 既存事業の深化(Exploitation)と新規事業の探索(Exploration)を両立
- 実現方法:ユニットを構造的に分離しつつ、全社的な統合を促進する包括的ビジョンを掲げる
知識創造(SECIモデル)
- 暗黙知と形式知の相互変換による組織的知識創造
- 共同化(Socialization):暗黙知 → 暗黙知
- 表出化(Externalization):暗黙知 → 形式知
- 連結化(Combination):形式知 → 形式知
- 内面化(Internalization):形式知 → 暗黙知
一次試験出題:R5 Q17 / R3 Q22, Q10, Q11
【2次試験での問われ方と解答例】
問われ方の例
- 「既存事業の深化と新規事業の探索を両立させるための組織上の工夫を述べよ」
- 「A社で暗黙知を組織知として活用する方法を述べよ」
解答の構成例(両利きの経営)
既存事業の深化部門と新規事業の探索部門を構造的に分離し、それぞれ異なる評価制度・予算配分を行う。同時に、経営トップが包括的ビジョンを掲げ、全社的な統合を促進することで、両利きの経営を実現できる。
解答の構成例(SECIモデル)
暗黙知を共同化(OJT等)で共有し、表出化(マニュアル化)で形式知に変換する。連結化で体系化し、内面化(実践)で新たな暗黙知を生む。このサイクルでコア・コンピタンスを強化する。
記述のポイント
- 「構造的に分離」=組織図上で物理的に別部門として独立させること
- 分離だけでなく「統合」の仕組みも述べる
- SECIモデルは4つのプロセス順番を活用
- 強みがさらに強化されるサイクル
論点3:従業員の動機づけと人事評価制度
なぜ重要か?
従業員のモチベーション低下や非効率な人事評価制度は、企業成長の阻害要因として事例文に頻出します。これらの問題を解決するための理論的根拠と具体的施策が求められます。
■ 動機づけ理論の応用
期待理論
- モチベーション = 期待 × 道具性 × 誘意性(3要素)
①期 待:努力すれば成果を出せる
②道具性:成果を出せば報酬が得られる
③誘意性:その報酬に魅力がある - 実務への適用:管理者は、部下の職務遂行能力を高めることで達成の見込みを持たせ、モチベーションを阻害しない
目標設定理論
- 具体的で挑戦的な目標は、部下に受容されることで高いパフォーマンスにつながる
- 実務への適用:難易度の高い目標を設定する際は、その目標が公正で妥当であることを部下に伝え、納得感を得る
一次試験出題:R5 Q13 / R4 Q16, Q17
【2次試験での問われ方と解答例】
問われ方の例
- 「従業員のモチベーション低下の原因を分析し、改善策を提案せよ」
- 「A社が挑戦的な目標を設定する際の留意点を述べよ」
解答の構成例(期待理論)
従業員のモチベーションは、期待(努力→成果)、道具性(成果→報酬)、誘意性(報酬の魅力)の掛け算で決まる。管理者は、挑戦的目標に対し部下の能力向上を支援することで期待を高め、達成時の報酬を明確にすることで動機づけを促進すべきである。
解答の構成例(目標設定理論)
難易度の高い目標を設定する際は、その目標が公正で妥当であることを部下に丁寧に説明し、納得感(目標の受容)を得ることが重要である。受容された挑戦的目標は、高い成果につながる。
記述のポイント
- 期待理論は「3要素のどれが欠けているか」を与件文から読み取る
- 目標設定理論は「受容」がキーワード(目標の押し付けはNG)
- 理論名を書く必要はない(問題文で指定がない限り)
■ 人事評価と公正性
自己評価の導入効果
- 従業員と上司との間で職務成果に関する議論が活発化
- 評価の納得感・透明性が向上
評価制度設計のポイント
- 評価基準の明確化
- 多面評価(360度評価等)の活用
- 公平性の確保とモチベーション維持のバランス
一次試験出題:R4 Q22
【2次試験での問われ方と解答例】
問われ方の例
- 「A社の人事評価制度の問題点を指摘し、改善策を述べよ」
- 「公平な評価制度を構築するための施策を提案せよ」
解答の構成例
自己評価を導入することで、従業員と上司との間で職務成果に関する議論が活発化し、評価の納得感が向上する。また、360度評価など多面評価を活用し、評価基準を明確化することで、公平性を確保しモチベーション維持につなげる。
記述のポイント
- 現状の評価制度の問題点(上司の主観のみ、基準不明確等)を与件文から読み取る
- 自己評価、多面評価、評価基準の明確化などの改善策を提示
- 「納得感」「透明性」「公平性」がキーワード
学習のポイント
効果的な学習方法
1. 理論の「使いどころ」を理解する
- 単なる暗記ではなく、どの場面で何の理論を適用すべきかを意識
2. 事例企業の状況に当てはめる練習
- 抽象的な理論を、具体的な企業の課題解決に結びつける
結局は与件文と設問文が最優先じゃな。
その通りです!
理論はあくまで道具です。使いどころを間違えないようにしましょう。
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