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2次試験知識 事例Ⅲその④ 標準化・マニュアル化

 

こんにちは燦です。
こちらはYouTubeの知識インプットシリーズです。

今回は事例Ⅲじゃな。製造業は奥が深いぞ。

聞くだけでなんとなく各事例の雰囲気を味わう動画+ブログ記事として投稿しています。

事例Ⅲを習得するためにもしっかり覚えないとな。

 

事例Ⅳの攻略解説シリーズはこちらのページをご確認ください。
【YouTube】事例Ⅳ 攻略法解説シリーズ 

事例Ⅳの過去問解説シリーズはこちらのページをご確認ください。
【YouTube】事例Ⅳ 過去問解説シリーズ

 

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◆目次◆

 

事例Ⅲ-④ 標準化・マニュアル化

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5回シリーズの構成

  1. 生産管理系の用語
  2. 生産効率系の用語
  3. デジタル系の用語
  4. 人材育成系の用語 ← 今回これ!
  5. 戦略成長系の用語

今回は人材育成系用語になります。これは事例Ⅲの裏テーマになるかなと思います。表テーマは生産技術、オペレーション、生産管理、生産性向上などこれまでやってきた話ですが、今回の話はその裏テーマに当たります。

 

事例Ⅲの裏テーマ:属人化の脱却

1分で理解する最重要ポイント

事例Ⅲの裏テーマは属人化の脱却です。これが事例Ⅲを理解する上で最も重要な概念になります。

企業のフェーズと事例の関係

事例Ⅲの企業は成長フェーズにあります。企業のライフサイクルで整理すると以下のようになります。

フェーズ 該当事例 重要テーマ 特徴
創業期 事例Ⅱ 差別化 独自コンセプト、強みを生かしたマーケティング。属人化していても良い(むしろ強み)
成長期 事例Ⅲ・Ⅳ 属人化の脱却 品質の均一化、大量生産、効率化、官僚化(完了化=効率を究極に極めた姿)が正解
成熟期 事例Ⅰ 組織改革 官僚制の逆機能解消、組織の適正化、新事業立ち上げ、イノベーション

成長フェーズで求められること

  • 品質の均一化:誰が作っても同じものができる
  • 生産性・生産量の確保:安定的にサービスや商品を提供できる供給量をキープ
  • 官僚化は正解:効率性を追求していくと官僚体制になる。マニュアル通りに同じ作業を同じスピードでやり続けることが求められる
  • 標準化・マニュアル化・属人化の解消:成長段階では正解の方向性

事例Ⅲにおける重要な認識

事例Ⅰ・Ⅱとは頭を切り替えて、機械的に、ロボットのように、精密に、大量生産をこなしていく。イレギュラーなことをしないで、当たり前のことを改善していくという意識を持って解いていくことが重要です。

 

属人化脱却の王道:標準化→マニュアル化→OJT

俗人化を脱却する方法を1つに絞って言うなら、この流れになります。これだけ覚えておけば良いというぐらい重要です。

標準化→マニュアル化→OJTの順番が重要

この順番を守ることが非常に大事です。過去問にも毎年のように出題されている流れです。

  1. 標準化:まず作業プロセスを1つのやり方に統一する
  2. マニュアル化:標準化したやり方を文書化する
  3. OJT:マニュアルに基づいて現場で教育する

なぜこの順番なのか

  • マニュアル化する前に標準化しないといけない理由:マニュアルにはいろんなパターンのやり方は書いていない。1つのやり方が書いてあるので、まずプロセスが標準化(1つに統一)されていないとマニュアル化できない
  • 標準化する前に形式知化が必要:皆が心の中に思っていることをアウトプットして、それを1つにまとめる

形式知化→標準化→マニュアル化の流れ

  1. 形式知化:暗黙知をアウトプットする(書き出す)。これはマニュアル化ではない
  2. 標準化:皆の意見を集めて、顧客からの指定や製品標準規格などを統合して作業を標準化する
  3. マニュアル化:標準化したやり方を文書化する
  4. OJT:マニュアル通りにやるよう教育し、実際に現場で教えながらやっていく

標準化とマニュアル化の目的の違い

  • 標準化の目的:品質を均一化すること
  • マニュアル化の目的:誰でもできるようにすること

 

標準化・マニュアル化・OJTで得られる効果

この施策を実施することで、様々な恩恵が得られます。

属人化の脱却

裏テーマの課題を解消できます。特定の人に依存しない体制を作ることができます。

生産性の向上

  • 誰がやっても同じ作業を同じ時間でできる
  • 生産効率が非常に良い
  • 早い人も遅い人もいると、遅い人がボトルネックになって作業が停滞する
  • 皆が均一にできるのが一番生産効率が良い(荷物を運ぶ時、いろんな形のものより全部立方体の方が運びやすい=ダンボールが四角いからトラックに乗りやすいイメージ)

クレームの削減

  • 品質が均一であるとクレーム数・不良数が減る
  • めちゃくちゃ良いものとめちゃくちゃ悪いものが混在すると、悪いものだけクレームになる
  • 良くても逆クレームはないので、守らないといけない品質以上のものを全て作り続けることが重要

ロスの削減

  • 品質不良がお客さんに届いたらクレームになる
  • 社内で発見したら製品ロスになる
  • ロス削減により費用削減・収益向上につながる

多能工化

1人の作業員が多くの作業をできるようになると、生産効率が大幅に上がります。

  • この人がいなければこっちの人を入れれば良いという作業配置がやりやすくなる
  • こっちが忙しければこっちに移動して作業を平準化できる
  • 生産管理や生産性向上施策のベースとなるスキル
  • 非常に便利で目指すべき姿

単能工化は基本的に目指さない

  • 単能工は属人化・職人の世界(1人が1つの作業を極める)
  • その作業だけに関しては作業効率は上がるが、全体的には良くない
  • 属人化=1人の能力頼りからの脱却が必要
  • 単能工化施策はほぼない(専門化する方向性もゼロではないが、全体としては多能工化・汎用化・標準化の方向性が多い)

技術継承

  • 若手がいろんな技術を習得できる
  • 技術継承が可能になり、企業が永続化していく
  • 最新の機械を活用すれば、職人の技術も含めて技術継承できる

徒弟制度との違い

技術継承というと徒弟制度(師弟制度)を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、事例Ⅲで言うOJTとは異なります。

  • 徒弟制度:弟子入りして職人の技を見て学ぶ。ひたすら真似して5年、7年かけて職人の技術を学ぶ。暗黙知を暗黙知として伝えていく仕組みで、あまり形式知化しないやり方
  • 事例ⅢのOJT:暗黙知を形式知化して、誰でも同じ品質でというスローガンがある
  • 徒弟制度は伝統的な技術継承のやり方として強力だが、工業製品のC社のような成長段階の企業には微妙
  • 徒弟制度で教育訓練していくのはよほどのケースでないと使うことはない

 

OJT以外の教育訓練方法

OJT以外にも様々な学習方法があります。

OFF-JT(オフ・ジェイ・ティー)

  • 生産技術だけでなく、経営全般やマネジメントも学べる
  • 生産技術においては、自社の専門ではない新しい技術を体系的に学べる

外部研修

  • 外部セミナーに参加するのも有効
  • OFF-JTと似たような効果

資格・技能検定

  • 資格がないとこの仕事ができないという技術サービス企業もある
  • 技能検定や資格試験など自己啓発系を促す教育

取引先からの技術習得

製造業で多い方法で、非常に重要です。

  • 新しい市場の取引先ができた場合、学ぶことが非常に多い
  • 生産管理の方式やデリバリーのやり方
  • 新しい技術開発をして顧客に出してテストしてもらい、フィードバックをもらってさらに改良を加える
  • 自社の技術が強化される
  • 製造業が成長する上で最も重要な一次知識の取り込みかもしれない
  • 下請けだけやっていた会社がいきなり自社オリジナル製品を開発するのは難しいので、直接ユーザーの声を取り込める土台が必要
  • 初めて直接ユーザーとの取引関係ができた時に技術交流ができるのは1つの機会

産学連携

  • 行政、学校、大学などと技術連携するケース

工業団地での交流

  • 工業団地というワードが出てきたら、別の企業と交流する機会がある
  • 物流拠点として非常に近いので外注し合うのが有利にできる
  • 距離が近いとコラボレーションしやすい
  • 同じ工業団地に技術で組めそうなところはないかという見方もできる

業界団体の技術交流会

  • 自社が所属する団体の技術交流会(板金業界など)
  • 技術交流会に参加するのも有効

 

実践的な考え方:職人路線 vs 標準化路線

過去問題で2択の問題が出たことがあります。

問題例

このまま職人路線で行くのか、それとも商品のラインナップを増やして標準化していくのか、どちらの路線でいきますか?

正解の考え方

今日の話を聞く限りにおいては、量産化して標準化していく方式を目指していくべきです。

  • 中小企業の差別化や事例Ⅱのマーケティングの意識があると、高級路線で差別化という方向に行きたくなる気持ちはある
  • しかし、事例Ⅲの裏テーマの趣旨を考えると標準化・大量生産の方がおそらく正解
  • 実際にこの問題の事例企業の経営幹部社員に直接聞いた話では、即答で「標準化です。量産したいです」という回答だった
  • 成長企業が軌道に乗せてやっていきたいという思いは変わらない

 

まとめ

事例Ⅲの裏テーマ

  • 属人化の脱却が最重要テーマ
  • 成長フェーズにある企業は官僚化(効率化)が正解
  • 事例Ⅰ・Ⅱとは頭を切り替える必要がある

俗人化脱却の王道

  • 標準化→マニュアル化→OJTの流れを守る
  • この順番が非常に重要
  • 標準化の目的=品質の均一化
  • マニュアル化の目的=誰でもできるようにする

得られる効果

  • 属人化の脱却
  • 生産性の向上
  • クレーム削減
  • ロス削減・収益向上
  • 多能工化による柔軟な作業配置
  • 技術継承による企業の永続化

教育訓練の方法

  • OJT:最も重要で基本的な方法
  • OFF-JT・外部研修:体系的な学習
  • 資格・技能検定:自己啓発
  • 取引先からの技術習得:成長に最も重要かもしれない
  • 産学連携・工業団地・業界団体:外部との技術交流

徒弟制度との違い

  • 徒弟制度=暗黙知を暗黙知として伝える
  • 事例ⅢのOJT=暗黙知を形式知化して誰でもできるようにする
  • 成長段階の工業製品企業には徒弟制度は微妙

実務での適用

  • 職人路線より標準化・量産化路線が正解
  • 機械的に、精密に、大量生産をこなしていく意識
  • イレギュラーなことをせず、当たり前のことを改善していく

というわけで、今回は事例Ⅲの人材育成系用語を解説しました。

人材育成は経営資源の中で人という最も重要な要素ですから、製造業の現場でもとても重要な土台になります。標準化してマニュアル化してOJTして多能工化して平準化して生産性向上という流れは、目的に対してのフローは非常に長いですが、この王道の流れをしっかり押さえておきましょう。

引き続き復習してみてください。

 

 

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