とりあえず診断士になるソクラテス

中小企業診断士を取得して新しい生き方を見つける

2次試験知識 事例Ⅲその③ デジタル化



こんにちは燦です。
こちらはYouTubeの知識インプットシリーズです。

今回は事例Ⅲじゃな。製造業は奥が深いぞ。

聞くだけでなんとなく各事例の雰囲気を味わう動画+ブログ記事として投稿しています。

事例Ⅲを習得するためにもしっかり覚えないとな。

 

事例Ⅳの攻略解説シリーズはこちらのページをご確認ください。
【YouTube】事例Ⅳ 攻略法解説シリーズ 

事例Ⅳの過去問解説シリーズはこちらのページをご確認ください。
【YouTube】事例Ⅳ 過去問解説シリーズ

 

チャンネル登録もよろしくね♪

 

◆目次◆

 

事例Ⅲ-③ デジタル化

youtu.be

 

5回シリーズの構成

  1. 生産管理系の用語
  2. 生産効率系の用語
  3. デジタル系の用語 ← 今回これ!
  4. 人材育成系の用語
  5. 戦略成長系の用語

今回はデジタル系用語になります。横文字や馴染みのない言葉が多くてイメージしにくい方もいらっしゃるんじゃないかなと思います。私自身もあまりIT系得意じゃないんですけれども、できるだけ分かりやすくイメージできるように説明していきたいと思います。

 

デジタル化の2つの文脈

1分で理解する最重要ポイント

デジタル化には2つの文脈があります。ICT(情報共有系)とDE(デジタルエンジニアリング)に分かれます。

ICT(インフォメーション&コミュニケーションテクノロジー)

情報をコミュニケーションする、つまり情報共有することが目的です。デジタル技術を使うのはあくまで手段であって、目的は円滑に情報共有をしたい、コミュニケーションを測りたいということです。

  • 納期を守りたい → 生産管理をしっかりしたい → 情報共有をしっかりしたい → デジタル化しましょう
  • 階層構造で言うと割と下の方のレイヤー
  • とはいえ製造業の中ではかなり重要な概念

デジタルエンジニアリング(DE)

CAD、CAM、NC工作機械、自動機械、自動工程、ロボットなどのテクノロジーを指します。情報共有系の話とデジタルエンジニアリングの話は一旦分けた方が理解しやすいです。

 

デジタル化の3ステップ

ICTを考える上では、この3ステップを認識しておくと解像度が上がります。

ステップ1:デジタイゼーション

アナログの情報をデジタルに置き換えることです。紙で伝票を管理していたものをExcelに打ち込んで管理するようなイメージです。

  • メリット:検索性向上、可読性向上、集計・分析が可能、計算・スケジューリングが容易、共有が楽、コピーが簡単
  • 注意点:情報がデジタルデータに落とし込まれただけで、業務プロセスは全く変わっていない

ステップ2:デジタライゼーション

業務プロセス自体が変わってくる段階です。営業が在庫を知りたい時に、工場に電話で確認したり在庫表を送ってもらうのではなく、システムにログインして自分で確認できるような状態です。

  • 情報共有がリアルタイムにできる
  • 承認プロセスの自動化(ワークフローシステム)
  • 承認がどこで止まっているか見える化できる
  • 費用がかかるケースが多い

ステップ3:デジタルトランスフォーメーション(DX)

事業モデルそのものが変わる、経営戦略自体が変わる、組織文化を変えていくような大きな話です。

  • IoTやAIなどの最先端技術を活用
  • ユーザーの使用データを収集・分析して新商品開発
  • 新ビジネスモデル、経営戦略の変革
  • 事例Ⅲではほとんど出てこない(中小企業にはその前にやることがある)

事例Ⅲで重要なのは

ほとんどのC社の場合はデジタライゼーションが施策のポイントになります。中にはデジタイゼーションからという段階のパターンもあるので、段階の見極めが重要です。

 

DRINKフレームワーク

デジタル化を記述する際に使える診断士の事例Ⅲ用の造語です。世の中にある言葉ではありません。

DRINKの構成

  • D:データベース化
  • R:リアルタイム化
  • I:一元管理化
  • N:ネットワーク化
  • K:共有化

使い分けのポイント

  • データベース化(D):デジタイゼーション段階で使う。アナログだった情報をデジタル管理する時に使用
  • RINK:デジタライゼーション段階で使う。リアルタイムで共有、一元管理、ネットワークして共有化

データベース化の効果

金型がどこにあるか分からない状態で、棚の位置をデータベースで結びつけると、使いたい型がどこの倉庫のどこの棚にあるかすぐに見つけられます。図書館で本のタイトルを検索すると棚番号が出てくるのと同じイメージです。

リアルタイム化

人が情報を入力して更新するまで情報が更新されないとタイムラグが生じます。在庫があると思ったら実は更新してなくて在庫がないということを防ぐため、リアルタイムで反映される仕組みを作ります。

一元管理化

人がバラバラに管理していると絶対良くありません。スケジュール表が複数あるとダブルブッキングします。一元管理することで抜け漏れなく管理できます。各部門がバラバラに生産計画を組んでいる場合は、一元管理したデータベース上で管理します。

ネットワーク化

どことどこを繋ぐのかを意識すると回答が具体的になります。

  • 部門間でネットワークを繋ぐ
  • 工場間でネットワークを繋ぐ
  • 営業と設計と製造をネットワークで繋ぐ
  • 顧客からの受注情報でシステムを繋ぐ

共有化

情報共有の話で、大きな目的になります。リアルタイム、一元管理、ネットワーク、データベース、全ては共有化していくことに繋がるキーワードです。

注意点

DRINKの全てを毎回書いている回答を見ますが、あまり分かっていないのかなという印象を与えます。C社の状況に合わせて一番ピンポイントで必要な施策を書くと良いです。

 

データベース化すべき情報

何をデータ化すればいいのか整理する問題も過去に出ています。データ化すべき情報をまとめました。

情報の種類 内容
受注情報 注文数量、納期など
設備情報 どんな機械が何台あるか、スペック、メンテナンス履歴など
作業情報 作業標準、マニュアル、ノウハウ、プロセスフロー、急所工程図など
材料情報 どの製品にどの材料をどれだけ使うか、仕入先、価格など
在庫情報 完成品、仕掛品、材料の数量、入出庫記録など(原品管理で重要)
設計情報 過去の設計データ(コピーしてベースを使い回せる)
人員情報 作業員の能力、資格、パラメーター(人員配置に役立つ)

ポイント

C社の状況に合わせて不足している部分についてピックアップします。全てを羅列するよりも、C社が今不足していて特に必要な情報をピックアップする方がベストです。

 

デジタルエンジニアリング用語(製造系)

工場の現場や機械を扱う製造業、機械工業でないと馴染みがないかもしれません。順番に規模が大きくなっていくと覚えればよく、事例ⅢのC社においてはほとんど上3つぐらいしか使いません。

NC工作機械(数値制御)

  • NC:Numerical Control(数値制御)
  • 元々は手作業でやっていた金属加工、穴開け、切断を全部機械でやる
  • 最初は紙に穴を開けて制御していた(コンピューターがない時代)

CNC工作機械(コンピューター数値制御)

  • CNC:Computer Numerical Control(コンピューター数値制御)
  • 現在はコンピューターで制御しているのが主流
  • NC、NCと言っているが厳密にはCNC工作機械
  • メリット
    • スピードが速く、疲れないのでずっと高速で作り続けられる
    • 誰が作っても同じ品質でできる
    • 熟練の技術や職人技を覚えなくても素人でもボタンを押せば同じ品質の加工品ができる
    • 人手不足を補える効果がある

MC(マシニングセンター)

  • MC:Machining Center(マシニングセンター)
  • CNCの強化版で複合機のようなもの
  • 旋削もできれば穴開けもできるしレーザー加工もできる
  • いろんな機械が一台でできるので段取り替えが早い
  • 多品種少量生産もできる
  • 過去問にも登場

以降の用語(参考程度)

DNC以降はかなり費用がかかるシステムで、中小企業のC社の規模よりも大きな工場と企業の規模になります。

  • DNC:Direct Numerical Control(複数のCNC機械を一括制御)
  • FMC:Flexible Manufacturing Cell(セル生産を自動化したイメージ)
  • FMS:Flexible Manufacturing System(複数のFMCをシステム制御)
  • FA:Factory Automation(工場全体が自動化、無人工場)
  • CIM:Computer Integrated Manufacturing(設計から販売まで全てコンピューター制御)

 

デジタルエンジニアリング用語(設計系)

設計系の方が馴染みがあるかもしれません。ちょくちょく出てきます。

CAD(キャド)

  • CAD:Computer Aided Design(コンピューター支援設計)
  • 昔は人が書いていた設計図をコンピューター上で設計する
  • 2D CAD:図面のような設計図。寸法が厳密に決まっている
  • 3D CAD:完成品が3Dで出てくるので視覚的に分かりやすい。基本的には2D CADの上位互換で2D設計図も作れる
  • 注意点:2Dには2Dの良さ(より精密、使いやすい、処理が速い)があるので、全てが3D CADに置き換わるわけではない
  • C社の商品に明らかに3D CADの方が良いケースでは2D CADから3D CADにする提案が有効

CAM(キャム)

  • CAM:Computer Aided Manufacturing(コンピューター支援製造)
  • CADで作ったデータをNC機械でプログラミングしてくれるソフト
  • CADデータを読み込ませればプログラミングしてくれて、それをNC機にセットすれば自動で加工してくれる
  • NC機と密接に関わっている
  • CAD/CAM:セットで出てくることも多い

CAE(シーエーイー)

  • CAE:Computer Aided Engineering(コンピューター支援エンジニアリング)
  • 簡単に言うとシミュレーションができるソフト
  • 対衝撃テスト、時速30kmで壁に向かったらどう変形するかなどを実験せずにシミュレーションできる
  • メリット
    • 試作と実験の回数を大幅に減らせる
    • 開発スピードが上がる
    • 開発コストを抑えられる
  • 流体力学の流れや粒子の動きなどもシミュレーションできる
  • 超ハイスペックコンピューターが必要なので費用はそこそこ高い
  • 今後出題される可能性がある未出の論点

費用感の整理

  • CAD単体:無料ソフトもあり、有料でも数万円〜数十万円程度
  • CAD/CAM:セットで使うことが多い
  • CAD/CAM + NC機:セットで導入すると数千万円
  • MC機 + CAD/CAM:数千万円〜1億円程度(中小企業にとってはかなり思い切った投資)
  • CAE:ソフトとハイスペックPCセットでそこそこ高い

施策提案のポイント

  • 2D CADを3D CADにするぐらいは割と現実的な施策
  • MCを導入するのは数千万円の設備投資なので、いきなり提案するのは多少リスクがある
  • NC機を検討しているとか、段取り替えに時間がかかって大変という話があればMC機の導入も検討できる
  • 開発に時間がかかっている、実験のコストがかかっているという話があればCAEの導入が施策として出てくる可能性がある
  • 全然関係ないところで提案するのは注意

 

実際の導入状況

デジタル技術を使っている2800社に聞いたアンケートデータによると、導入率は以下の通りです。

技術 導入率 備考
CAD/CAM 60〜70% 最も使われている
生産管理システム 60〜70% ほとんどの会社が導入済み
クラウド 中小50%、大企業60% データ共有に有効(ネットワーク化)
ICT技術 中小30%、大企業50% タブレット、スマホなど通信機器を使った情報共有
ロボット 中小25%、大企業50% 中小企業はまだ低い
IoT 20% -
RPA 13% -
AI 8〜10%未満 まだ導入率が低い

事例Ⅲで出題されやすい範囲

  • CAD/CAMが入っていますか
  • 生産管理システムを導入しましょう
  • クラウドを活用しましょう
  • ICT(スマホ、タブレットなど端末機器を活用)

下に行くほど導入率が低く、中小企業は大企業にかなり遅れを取っています。AIを導入しましょうというところまでは事例Ⅲの試験問題では出てこないんじゃないかと思います。

 

まとめ

デジタル化の2つの文脈

  • ICT:情報共有を目的としたデジタル化
  • デジタルエンジニアリング:CAD、NC機械などの技術

デジタル化の3ステップ

  • デジタイゼーション:アナログ情報をデジタルに置き換え(業務プロセスは変わらない)
  • デジタライゼーション:業務プロセス自体が変わる(事例Ⅲで最も重要)
  • DX:事業モデル・経営戦略の変革(事例Ⅲではほぼ出てこない)

DRINKフレームワーク

  • データベース化:デジタイゼーション段階
  • リアルタイム化、一元管理化、ネットワーク化、共有化:デジタライゼーション段階
  • C社の状況に合わせてピンポイントで必要な施策を選ぶ

デジタルエンジニアリング用語

  • 製造系:NC(CNC)、MC が重要。DNC以降は参考程度
  • 設計系:CAD、CAM が頻出。CAEは今後出題される可能性あり
  • 費用感を意識した現実的な提案が重要

実務での適用

  • C社がどの段階にいるかを見極める
  • 不足している情報は何かを特定する
  • 費用対効果を考えた現実的な施策を提案する

というわけで、今回は事例Ⅲのデジタル系用語を解説しました。

言葉の意味をしっかり理解すると、デジタル化の施策も的確に書けるようになってきます。特にデジタイゼーションとデジタライゼーションの違い、DRINKの使い分けは重要なポイントです。C社の状況をよく読んで、適切な段階の施策を選択できるようになりましょう。

引き続き復習してみてください。

 

 

ミッション発生中は無料ダウンロード可能なのでチェックしてね★
知識&記述MG救済ミッション | 戦研ストア

 

事例Ⅲマスターガイドとは

中小企業診断士 2次試験独学突破 事例Ⅲマスターガイド

 

▼事例Ⅳ攻略記事はこちら

2次試験合格率94%⁉事例Ⅳ攻略の秘訣 

事例Ⅳ特集  過去問から得られる3つのスキルと立ちふさがる3つの問題 

 

▼事例Ⅳ問題集のストア

smri.official.ec

 

↓Twitterでも発信してます🖋

https://twitter.com/sun_smec