とりあえず診断士になるソクラテス

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令和3年度 二次試験 事例Ⅰ 解説と模範解答

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こんにちは燦です。令和3年二次試験についてとりあえず解いただけの解答を投げっぱなしでしたね…。

結局どんな解答が正解なの?

改めてちゃんと考えて解答を作っておきましょうか!
これから過去問として取り組む方々の為にも…。

 

◆目次◆

 

 

解答を判定するポイント

 

解答を評価するにあたって私がよくする方法は、解答が問題に対してスムーズにシームレスに繋がっているかどうかです。

例えば、当社の業績はなぜ落ちたのか?という問題に対して、
「○○の外部環境が悪かったからである。」と答えたとします。

あなたが質問(出題)をした側だとしたら、それで納得いくでしょうか?
おそらく、外部環境が悪ければなぜ当社の業績が落ちないといけないのか?
という疑問が湧いてこないでしょうか?

ですので外部環境が悪かったから→当社の業績が落ちた。とはシームレスには繋がっていないことになります。

例えば、何でもツッコんでくる意地悪な上司を想像してもいいかもしれません。
診断士の実務補習でも似たような押し問答を何度も経験することになります。
ついつい、いや行間読み取ってくれよ…とか思いがちですが、全てをきちんと論理的に説明することを求められます。

当社の業績はなぜ落ちたのか?という問題に対しては。
○○の影響で外部環境が悪化した。それにより競合との受注を巡った価格競争が生じ、当社が受注を確保するには価格を下げざるを得なくなった。価格を下げた結果、利益が縮小し→当社の業績が落ちた。

こんな感じならシームレスと言えるかも知れません。
もちろん、くどく説明すればいいってもんではないですが、聞かれたことに答えるって、ついつい省略しがちってことに注意と捉えて頂ければOKです。

 

淀みなく流れる川のように…。シームレス解答法と名付けます。

川の流れのようにか…。

美空ひばり法の方がいいですかね?

はい。

(興味ないなこいつ)

 

第1問

 

第1問(配点 20 点)
2 代目経営者は、なぜ印刷工場を持たないファブレス化を行ったと考えられるか、100 字以内で述べよ。

 

●私の解答

大量安価に仕上がるオフセット印刷機が普及し、社内外の分業体制が生かせず価格競争に陥る為。印刷の技術革新やオンデマンド印刷機の普及により、A社職人の専門的技術も生かせず、事務用印刷では差別化が困難な為。(100字)

 

うん…。これはひどい。せいぜい5~7点ですね。

そんなに悪いかね?

やっぱりちょっと焦っちゃいましたね。全然答えになってませんね…。
なぜ○○をするのか?と聞かれば絶対に○○することに何かメリットがあるからです。なのに私は脅威面しか書けてなくて肝心のメリットが書けていない。

 

 
価格競争に陥る為、差別化が困難な為
→ファブレスにした

 

 
価格競争に陥りそう、差別化が困難になりそうだから、
価格競争を回避するため、差別化をするために
→ファブレスにした

 

 
価格競争に陥りそう、差別化が困難になりそうだから、
価格競争を回避するため、差別化をするために、
つまり(与件文より)顧客の細かいニーズに対応出来る分業体制を整えるために
→ファブレスにした

 

 
価格競争に陥りそう、差別化が困難になりそうだから、
価格競争を回避するため、差別化をするためには、
顧客の細かいニーズに対応出来る分業体制を整えないといけない、
よって製版や印刷工程毎に専門特化した外注業者を活用したいので
→ファブレスにした

 

さらに、これに加えて競争戦略論での解答も加えることが出来ます。

競争戦略といえば、コストリーダーシップ戦略とか差別化戦略とか?

はい。与件に「高精度な印刷を必要とする美術印刷の分野にのみ需要を絞る」とありますので、(差別化)集中戦略ですね。

そんなん気づくかね…。

ここは、たぶんマーカーを引くべき文章でしょう。この集中戦略視点は第1~5問のどこかには使いたいところです。それを第1問で使うと判断出来ればOKです。
(私はPCモニターで問題文を見てて全くマーカーとメモをとらずにやっちゃいました…)

おっ、言い訳か。

 

 
価格競争に陥りそう、差別化が困難になりそうだから、
価格競争を回避するため、差別化をするためには、
顧客の細かいニーズに対応出来る分業体制を整えないといけない、
まずは多工程にわたり高品質、高精度な印刷を必要とする美術印刷の分野にのみ需要を絞って、
製版や印刷工程毎に専門特化した外注業者を活用したいので
→ファブレスにした

 

これを100字にまとめると。

 

●最終解答

量産機普及や技術革新により従来技術では差別化が図れなくなった。その為、経営資源を美術印刷分野に絞り、製版や工程毎に専門特化した外注業者を活用し顧客の細かいニーズに対応出来る分業体制を整える必要があった。(100字)

 

だから、ファブレス化を行った。(シームレス!)

 

⚠反省点

与件文をダラダラ抜き取って解答を作っていると絶対なんらかの抜けが発生している

 

★知識面

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第2問

 

第2問(配点 20 点)
2 代目経営者は、なぜ A 社での経験のなかった 3 代目にデザイン部門の統括を任せたと考えられるか、100 字以内で述べよ。

 

●私の解答

美術印刷分野に転換し新たなデザイン性や印刷コンテンツを強化する必要があった為、3代目の前職の経験や人脈が生かせる。また広告新事業に拡大するにあたり組織活性化や3代目継承の育成を見据えた人事を考えた。(99字)

 

うーん、まずまずでしょうか。

戦略面、組織面、人事面、承継面、全部書けてるよね?

ちょっと組織活性化は無理くり入れた感がありますね。なんで3代目が入ると組織が活性化するのかの説明がありません…。

他の文字を削らなきゃ仕方ないね。

 

まず、3代目は前職の広告代理店業界での経験や人脈は超強みです。
これは絶対に書かなきゃいけないのはわかると思います。

しかし問題文に”A社で経験のなかった3代目”とあります。
この聞き方は、やはり事例Ⅰならではのポイントになります。
いくら業界に精通しているとはいえ、なぜA社で何の実績も無い人間をいきなり統括にしなきゃいけなかったのでしょうか? 考えられるのは次の点です。

・新しい事をする新事業に新しい風を吹かせるため
・後に承継させるために3代目自身に成長してもらうため

 

ということで100字に書き改めると。

 

●最終解答

新事業を拡大するにあたり、既存事業に捉われない新しい発想や組織文化の醸成、3代目の前職の経験や人脈に期待できるから②部門統括をさせることで経営的経験を積ませて育成し、自らの事業承継を見据えていたから。(100字)

 

だから2代目は、A 社での経験のなかった 3 代目にデザイン部門の統括を任せた。(シームレス!)

 

⚠反省点

因果の”因"に文字数を使いすぎると、大事なことが書ききれない。

 

★知識面

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第3問

 

第3問(配点 20 点)
A 社は、現経営者である 3 代目が、印刷業から広告制作業へと事業ドメインを拡大させていった。これは、同社にどのような利点と欠点をもたらしたと考えられるか、100 字以内で述べよ。

 

●私の解答

利点は①製造設備を持たない為、陳腐化のリスクを防ぎ需要に柔軟に対応出来る事②広告分野の新市場に参入し収益増を狙える事。欠点は①人的資源の不足②既に競合他社が多数存在③既存顧客からの需要創造が困難な事。(100字)

 

利点と欠点を色々拾っているのはいいと思いますが…。
この問題って言いかえればほぼ「多角化のメリデメを答えろ」ですよね。

うん。
だから利点の①は、多角化じゃなくてファブレス化の利点じゃね?多角化関係ないじゃろ。

そうなんですよ…。しかもドメインが印刷業のみの時点で既にファブレス化してますしね。ズレズレですね。

 

利点の、収益増はいいとして、もう一つ。
多角化のメリットとしては、
①売上分散
②事業間シナジー
③保有資源の有効活用
といったものがあります。

どれでもいいのですが、②についてはA社の場合は現時点であまり活かせておらず、後の問題での課題に使うように思えます。既にA社が入手した利点として書くのは後の解答と矛盾しそうなので避けた方がいいかもしれません。

ということで、利点は
・売上増加(かつ売上分散)
・保有資源の有効活用(特に人材)

 

欠点の方も、多角化のデメリットをみていきます。
①経営資源が不足する
②失敗リスクが高い
③ドメインの不明確化

このまんまでもいいですが、あまり何にでもあてはまる普遍的な解答にせずに、A社と与件文に沿った言い方にします。①は人的資源の不足について(特に営業)。②は競合が多かったり、新規顧客開拓が進まないという懸念、③は与件文で、組織の目的があいまいになり~みたいな話は特にないので、文字数のかねあいで今回は無視する。

 

ということで100字に書き改めると。

 

●最終解答

利点は①新市場での売上増収が狙え、市場リスクの分散が図れる点②様々な人材を各事業に活かせる点。欠点は①営業の人的資源が不足する点②新事業では、既に競合他社が多数存在し、競争優位を持つのが難しい点。(98字)

 

これが印刷業から広告制作業へと事業ドメインを拡大させていったA社の利点と欠点である。(シームレス!)

 

⚠反省点

問題の指示をちゃんと読めていない。
ファブレスの利点ではなくドメイン拡大の利点である。

 

★知識面

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第4問

 

第4問(配点 20 点)
2 代目経営者は、プロジェクトごとに社内と外部の協力企業とが連携する形で事業を展開してきたが、 3 代目は、 2 代目が構築してきた外部企業との関係をいかに発展させていくことが求められるか、中小企業診断士として 100 字以内で助言せよ。

 

●私の解答

今までは顧客の細かいニーズに対応するべく外部工程を管理することが主であったが、今後様々な職種の外部企業と交流を深め、知を融合して自らが価値を生み出し、新市場を創造していけるよう発展させていく必要がある。(100字)

 

なんなん?この問題…。ムズすぎ。

中小企業診断士としてってあるから、中小企業診断士として答えないとじゃな。

ですです。私の解答はなんか診断士っぽくないですよね。

なんか怪しい自称スーパープロコンサルが、それっぽいことを言ってるだけというか、「バーン」とやってみようよ!みたい感じで言ってるだけよな。

一応、新しいイノベーションを生み出そうよ!って趣旨なんですけどね…。
まぁ気を取り直して“診断士”っぽく分析して考えてみましょうか。

 

●今の外部企業との関係性

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こんな感じです。ものづくりのファブレスオペレーション化は成功出来ましたが、色んな職種の人たちとの連携はどうでしょうか。
問題文には「プロジェクトごとに連携する形」とありますし、与件文にも「必要に応じて」とあります。つまり連携の結び付きは弱いと判断出来ます。
なのでこの結び付きを強化させてやる必要があります。

 

●なぜ連携を強化させるのか?

これは、いわゆるオープン・イノベーションの考え方でいいと思います。
つまり様々な経験値を持った人たちが組み合わさることで、新しい技術や発想が生まれるからです。(イノベーションにも色々な種類がありますが、代表的なのはこのパターンです)

 

●一方、顧客(市場)との関係

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既存市場と新規市場がありますが、第4問に関しては、既存市場への販売強化だと思います。
与件文に「こうした新たな事業を既存の顧客に訴求するためには、新規の需要を創造していくことが求められた。」とありますので、つまりこうすればいいってことです。

 

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ということで100字に書き改めると。

 

●最終解答

オペレーションやプロジェクトのみではなく2代目が構築してきた様々な職種の外部企業と継続的に交流を深めて新しいイノベーションを生むよう発展させ、既存顧客に対して新規の需要を創造していくことが求められる。(100字)

 

このように3 代目は、2 代目が構築してきた外部企業との関係を発展させていくのである。(シームレス!)

 

⚠反省点

感覚的なふわっとした解答になってしまっていた。
既存市場と新規市場を切り分けて考える時間がなかった。

 

★知識面

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第5問

 

第5問(配点 20 点)
新規事業であるデザイン部門を担う 3 代目が、印刷業を含めた全社の経営を引き継ぎ、これから事業を存続させていく上での長期的な課題とその解決策について 100 字以内で述べよ。

 

●私の解答

課題は①印刷業で収益を増加、安定させる事②広告業で印刷業のノウハウを生かし差別化を図る事。解決策は①営業部門を設けて印刷新市場の開拓を行う②横断組織や外部連携チームを組み、印刷を活用した広告提案を行う。(100字)

 

これはそんなにははずしてないかな?

課題と解決策が2個づつでバランスはよさげ。

じゃあ、そもそもの問題から考えてみますか。

 

●問題は何か?

まぁこれでしょう。与件文の最後の段落より。
「3 代目は特に営業活動を行わず、主に初代、 2 代目の経営者が開拓した地場的な市場を引き継ぎ、既存顧客からの紹介や口コミを通じて新たな顧客を取り込んできたが、売り上げにおいて目立った回復のないまま現在に至っている。」

つまり、既存市場ばかりやっていれば成長がないということです。

図で言うと今度は新規市場を長期的にガンバレってことですね。

 

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●でもなぜ新規市場でいまいち売れていないのか

第3問の多角化の欠点のせいです。すなわち営業が足りてないし、競合ひしめく中で差別化出来ていないからです。

〈与件根拠〉
既に数多くの競合他社が存在しているため、非常に厳しい競争環境であった。さらに新規の市場を開拓するための営業に資源を投入することも難しいために、印刷物を伴わない受注を増やしていくのに大いに苦労している。

 

●なら課題は何か?

営業力を強化して、差別化を図ることです。

 

●どうやって解決する?

・営業力は部門設置や採用、あるいは人事評価見直しなどいつものフレームワークで。
・差別化は、部門間シナジーを活用していきましょう。

営業人的資源がないのに、営業力強化ってありなんかね?
そんな戦略がありなら、100億円を資金調達して超エリート100人雇えば全部解決じゃない?

マリーアントワネット戦略は、中小企業はそれが出来れば苦労はしねぇってやつですね…。なので営業力はまぁ一応書くだけ書いて、本命は差別化の方にしましょう!

 

●与件文にヒント

「印刷物を伴わない受注を増やしていくのに大いに苦労している。」
とありますので、じゃあ印刷物を伴う受注を増やしていけばいいじゃん(鼻ほじ~)って話です。
ここでA社が競合ひしめく広告業界で戦える方法がなんとなく見えてきましたね。
つまり、今までの印刷事業の経験を活かせば他社には無い強みになりそうです。

例えば「印刷のデザインからものづくりまで全て自社制作でご提供できますので、お客様の細かいニーズ対応や変更なども容易!どんな広告でも思いのまま!」みたいなPRが出来そうですよね。

 

ということで100字に書き改めると。

 

●最終解答

課題は、営業力を高め競争優位性を上げる為に差別化し新規市場を開拓する事。解決策は、①営業部門を設けて人材を登用し②印刷とデザイン両部門を横断組織化しシナジーを活用して印刷物を伴う広告受注を増やしていく。(100字)

 

こうすることで、A社事業を存続させていく(シームレス!)

 

⚠反省点
既存市場と新規市場を切り分けて考える時間がなかった。
そのため最初、課題は、印刷事業の収益増加などと書いているが、それは第4問の課題だと思われる。

 

★知識面

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おまけトーク

 

私の解答は、せいぜい60点ギリギリってところですかね?(甘い?)
ソクラテスさんは、第1問~第5問まで如何でしたか?

とにかく戦略的な話が多かったよね。でもよく分析してみたら外部を含んだ組織体制の話と深く結びついているのはわかったかも。

そうです。そしてこの美しい流れに気づいて欲しいわけです。

 

 

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なんか、どんどんパワーアップしとるね。

そうなんです!市場開拓や差別化といった戦略をもとに組織が変化していっているのがわかりますか?
『組織は戦略に従う』ってチャンドラーも言うてます!

組織といっても、自社組織だけではなく、外注や協業を含むっていう点が特徴的だね。

こんな短い与件文とたった5問だけで、ここまでの流れを練り込むって、やっぱり中小企業診断士の二次試験はすごいと思いました。論文にしたら30ページくらいになりそうですもんね。

すごいのはわかったけど、1個だけいい?

はい?

マリーアントワネット戦略ってなんやねんっ!

 

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