こんにちは!燦です。
みんな大嫌いなAD-AS曲線をやっておきますか。
マクロ経済の問題児じゃね。
目次
1.グラフまとめ
なんかグラフが多いのでちょっと最初にまとめておきましょうか。
いっぱいあってよくわからんわ。
なんせ3階層の構造になっています。
AD-AS分析は最終段階のところね。
縦軸と横軸の名目でどのグラフのことかを把握出来れば良いのですが。
利子率と来ればIS-LM、物価と来ればAD-AS、あとはそれ以外って感じか。
でも1階のところでも総需要線と総供給線があってAD-ASとややこしいな。
そこは縦軸の名目、グラフの形、グラフ式などで判断ですね。
2.AD曲線の導出
AD曲線は、Aggregate Demand【総合の需要】だから「総需要曲線」ともいいます。
IS-LMを合成したのものがAD曲線?
はい、それを物価とGDPで示したものがAD曲線ですね!
で、AD曲線がどういう傾きになるかを導く技を紹介します。
AD曲線は、物価と所得(GDP)の縦横関係になっています。(左図)
物価が下がるということは、つまり実質的にお金が増えるということですよね?
まぁもし同じお菓子1個が100円から50円になったら、100円玉で2個買えるようになるしな。
お金が増えるということは、つまり金融緩和的な政策(日銀の買いオペ、量的緩和など)と同じになります。IS-LM分析時の金融緩和ではどうなりました?
LM曲線が右にシフトする。
ですんで、物価の下落に合わせてIS-LM線のLM線をめちゃくちゃ右シフトしてやればいいんです。(右上図)
あーそうやって、IS-LM線を物価版に変形したものがAD曲線になるわけね。(右下図)
3.AD曲線の練習
何個か練習しておきましょう。IS曲線の形によって結構変わるんですよね。
ふーむ。ほとんどはIS曲線とAD曲線は同じだな。
ですねー。ただしLMが水平の時は要注意ですね。つまり金融緩和が効かない流動性の罠の時です。(②図)
この時ばかりはISががどんな形だろうともAD線は垂直になります。
いくら物価が下がろうが(つまりLMがいくら右シフトしようが)、所得は増えないと。
4.AS曲線の復習
一方AS曲線は、Aggregate Supply【総合の供給】だから「総供給曲線」ともいいます。
これがわからない。どっからきた?
AS曲線は要は労働力の話です。それを物価とGDPの関係で示しています。イメージ的にはどうですか?
労働力(働き手)が増えればGDPは増えそうなのはわかる。物価とはどう関わってくる?
とりあえず図はこうなります。(左図)
物価が上がった時って実質賃金が逆に下がるのはわかります?
そりゃまぁ、額面的に30万円の給料でも、もし物価が2倍になれば、実質的には15万円の価値になるしな。
労働者からすると悲しくて働く意欲を無くしますが、経営者側からするとラッキーだから、もっと採用したくなりますね。
売り手からすると安いならあまり売りたくない、買い手からすると安いならたくさん買いたいっていう市場均衡の話と同じやね。
はい、企業側(買い手)の目線を第一公準といい、労働者側(売り手)の目線を第二公準といいます。(ほんとは収益限界の話ですが)
市場均衡の話に振り替えるのはわかりやすいと思います
ただしこの場合の「商品」は「労働力」なので、「労働者」が「売り手側」で、「企業」が「買い手側」になります。反対にならないように注意してくださいね。
で、古典派経済学にいわすとAS曲線は垂直になるの?(右上図)
これも市場均衡の話で例えるとわかりやすいです。価格を上げても下げても総売上には影響しないってことです。
価格100円 10個売れる → 売上1000円
価格200円 5個しか売れない → 売上1000円
価格50円 20個売れる → 売上1000円
価格1円 1000個売れる → 売上1000円
【労働版】
実質給料10万円 3人雇う → 総所得30万円
実質給料 5万円 6人雇う → 総所得30万円
実質給料15万円 2人雇う → 総所得30万円
まぁ言わんとすることはわかるけど、現実はこうは単純にはいかないけどね。
客が来ない店なら、いくら時給が安くてもバイトを必要以上に雇う必要ないしな。
そこで、我らがケインズはグイーンとAS曲線を途中から曲げてくれました。(右下図)
つまり物価が下がると失業者が出る世界です。実質賃金が激上がりすると企業が雇わなくなるんですね。労働者がその給料じゃ働きたくない!ともいえます。(第二公準を否定)
市場均衡の話に置き換えれば、価格1円で1000個も売りたくないわって感じか。
供給側からいっちゃうとそうなんだけど、本質的には「いや、誰が1000個も買うねん」って需要側の話をケインズはいいたいんだけどね。
5.AS曲線の形状と経済思想
古典派みたいにAS曲線を垂直にしちゃうと、AD曲線のシフトは無意味になっちゃいます。(左上図)
財政政策や金融政策でIS線やLM線を頑張ってAD曲線をシフトさせても、AS曲線との交点は物価が変わるばかりで所得は全然増えんのじゃ…。
そんなわけないよね。もしそうならどの国も経済政策なんてしないもんね。常に失業者もいなくて完全雇用とかあり得ない。
でもAS曲線がシフトすれば、所得が増えとるね。(右上図)
だから(新)古典派経済学は、需要UP政策をおざなりにして、供給UP政策ばかりを主張するんですよね。構造改革とか規制緩和とかね。
常識的に考えてケインズモデルの方がいいな。(左下図)
まぁいい悪いは価値観なんでどっちでもいいんですが、グラフ形と経済観があれば覚えやすいのは確かです。
6.AD-AS分析
最後にAD-AS分析です。線シフトさせてGDPが増えるかどうか確認して遊びましょう。
物価の変動は、線シフトとは関係ないんじゃね。
よくある引っ掛け問題ですね。
線をシフトさせてやれば、交点の移動で物価が上がるのか下がるのか、GDPが増えるのか減るのかは一目瞭然じゃね。
ちなみに日本経済Verの場合は、IS線が垂直に近く、LM線が水平に近いと前に言ってましたからAD線も垂直に近くなります。
とすると、こんなグラフだから…こういうことが言えるね。
①AD線が右シフトすれば → GDP増加
※物価もそんなには上がらない
※ただし金融緩和だとAD線は動きにくい(LM的に)
②AS線を右シフトしても → GDP上がりにくい
※それよか物価が下がるばかり
デフレ下だとそりゃそうなります。実体経済とも矛盾なさそうですね。
デフレ下でのAS右シフト(供給UP)政策は弊害が大きいです。
作れば作るだけ売れる世界、「セイの法則」か…。
今も主流派経済学の中枢を占める概念ですね。確かに作れば作るだけ売れた時代もあったでしょうけど…。
やれやれ、もっと実体経済みてこうぜ!
AD-AS分析のことは嫌いになっても、私のことは嫌いにならないでください!