前回 中小企業診断士 二次試験の攻略② 最低限知っておかなければならないこと(1)
●動画(音声)解説
ほい、二次試験でスタート地点に立つ為に知っておかなければならないこと(2)です。
知っておかなければならないこと(1)は、
①タイムマネジメント
②事例Ⅰ~Ⅳの特徴
③一次知識のアウトプット
④因果関係を書く
という内容じゃったね。
目次
5.設問解釈をする
さて、二次試験は与件文と呼ばれる事例企業(A~D社)の概要や状況を細やかに説明する本文が3ページほどあって、その後に設問が5~8問程続きます。
しかし殆どの人は与件文を読むより先に設問の方から読んでいます。
へぇ。なんでじゃ?
主に時間短縮の為と型にハメる為です。
問題が先にわかっていれば、どこに注目して本文を読めばいいかわかるから効率的というわけじゃね。
型にハメるとは?
二次試験では内容はともかく解答の書き方はおおよそ決まっていますので、設問を読んだ段階で、あ~この解答のパターンだなというのがある程度わかるようになってきます。
設問内容を頭に入れるだけじゃなく、解答の書き方もある程度決めた状態にしてから、本文を読み始めるわけか。
そういうことです。それを設問解釈と呼んでいます。それが一番大事と言う人もいます。
大事マンブラザーズバンド…。
確かに非常に大事です。ここで改めて敵(作問者)の立場に立って考えてみましょう。
当然行き当たりばったりで問題が作られているわけじゃありません。
このようなプロセスで問題が作成されていると思います。
①解答論点を決める
②模範解答文を決める
③設問文を決める
④与件文にヒントを埋め込む
ふむ。受験者が解くプロセスと逆工程じゃね。
はい、例えば具体例として前回の成果主義評価制度の話で想像してみましょうか。
①解答論点を決める
成果主義制度のことをきちんと理解しているか問うか。
制度の導入動機、導入効果、デメリット面が書けるかな?
②模範解答文を決める
答えはこれで。「業績の向上を目指す為、評価制度を年功式から成果主義に変更し若手社員の士気を高めて組織の活性化を図る。ただし短期志向、個人主義にならぬよう注意し、公平透明で納得感のある評価制度設計にすること。」(95文字)
③設問文を決める
こんな感じで聞くか。「A社が業績を伸ばす為、人事制度の変革を考えている。どのような施策を行い、またどのような点に留意するべきか100字以内で述べよ。」
④与件文にヒントを埋め込む
こんなヒントを書いといたらんとあかんわな。「評価制度は創業当初より年功式で行っており…、若手社員のモチベーションが特に低くなってる…、商品のユーザー受けはいいが、社員が積極的に営業をせず販売は伸び悩んでいる…」
今さら、こんなサービス問題は出ないと思いますが、与件文だけを見ながらうんうん唸っていても、敵が求める答えに辿り着きにくいのはなんとなくわかりますか?
ふむ。答えと設問を決めた段階で作問者のやりたいことは完結しており、与件文は具体化され過ぎていて、作問者の最初の意思からは少し遠のいているな。
そうなんです。ですので作問者の趣旨から出来るだけ離れないようにするには、作問者のプロセスと同じ順序で思考し、設問解釈に注力することが重要になります。
例えば業績の向上策について聞かれて、作問者が人事制度面で答えてほしいのに商品開発や販売戦略で解答したりすると、間違ったことを言っていなくても当然0点です。
6.問われたことに素直に答える
問われたことにちゃんと答えましょう。理由は何かと聞かれれば、理由は何かを答える。課題は何かと聞かれれば、課題は何かを答える、最大の要因を答えよと聞かれれば、最大の要因を答える。
当たり前すぎて草生えるw
これが意外と難しいんですよね。日常会話でも多くの人が出来ていませんよ。
私は常に吉良吉影を意識して解答していました。
素直に答えるってこういうことか。
ですので、理由は?と聞かれれば、理由は~である。課題は?と聞かれれば、課題は~である。と私は答えます。
別に、~という理由だから。~という課題がある。といった答え方でも構わないし、理由や課題という言葉さえ字数の無駄ですから不要といえば不要です。
でも私は無駄を承知で、カッコいい解答を諦めて、最大の理由は?と聞かれれば、書き出しは「最大の理由は~」から始めます。このオウム返し式は一定の無駄とダサさがありますが、とにかく堅実です。
①最高です。
短刀直入式 無駄なし
②晴れているので気分は最高です。
文末〆式 綺麗な日本語になりやすい
③今日の気分は、天気が良いので最高です。
オウム返し式 堅実
④今日の気分は最高です。理由は天気が良いからです。
小並感(小学生並みの感想)式 長文だとわかりやすい
⑤でも少し…この風…泣いています。
ポエム式 かっこいい
ポエムは論外としても、①~④は好みの問題かな?
はい、私は解答がその時の気分でブレてしまいがちなので③or④方式を選びました。
7.問題と課題の違いを知る
経営者が抱える問題と課題の違いはわかりますか?
どっちも似たようなもんじゃろ。
はっきりした違いがあります。課題を答えよという問いに対して問題を答えてしまうと減点です。その定義も把握しておきましょう。
問題: 現状を説明しているだけ
(例)売上が低迷しているのが問題だ
課題: 問題を解決するためにやるべきこと
(例)売上を上げるため新商品を開発するのが課題だ
よく「この悪い部分が課題なんですよね~」とか言っちゃうけど、それはただの問題であって、「この悪い部分を治すのが課題なんですよね~」が正しい使い方なわけじゃね。
はい。具体的に何かをするかまで言っちゃうと課題というよりも改善案、具体策、施策という言い方になりますので、その一歩前の段階ですかね。
問題: クライアントがめちゃくちゃ怒っとる ヤバスギィ!
課題: クライアントの怒りを鎮めるんじゃ ボスケテ…
施策: ひたすら謝って誠意を伝える作戦や ナンデモシマス
具体策: 電話謝罪後に菓子折り持って上司連れていくで
成果: 許してくれてさらにファンになってくれたで チョロイン
言葉の定義がはっきりした方が解答の方向性がはっきりしやすいから助かるかも。
超簡単な識別法として、問題=ネガティブで、課題=ポジティブな表現になります。
8.制約条件に気を付ける
設問解釈と重なる部分もあると思いますが、設問文章は一言一句漏らさずに拾う必要があります。
解答に制約条件があったりするの?
あるんです。こんな言葉に要注意です。
①3代目社長時の~
②金銭報酬以外で~
③組織体制において~
④生産管理における~
⑤最大の要因は~
⑥違いを述べたうえで~
⑦ターゲットを明確に~
この制約を守らない解答は減点です。最悪0点になります。
①3代目社長時の~
×5代目現社長の話を書く
②金銭報酬以外で~
×外発的動機付け 〇内発的動機付け
③組織体制において~
×人事施策導入 〇組織変更
④生産管理における~
×生産性向上 〇生産計画
⑤最大の要因は~
×要因列挙 〇一つに絞る
⑥違いを述べたうえで~
×比較をしない
⑦ターゲットを明確に~
×ターゲットが広い
焦るとつい抜けてしまうかもしれんな…。
こういったワードは、下線引くなりチェックしときましょうね。
ふー。今回の話を一言でいうとつまりどういうことじゃ?
今回の話を一言でいうと「聞かれたことに答えろ」です。(堅実)
すごくためになったと思いました。(小並感)
続く